〈年金給付システムは、法令解釈に基づき正しい年金額を計算しています。したがって、記事中、「厚労大臣の年金決定額が間違っていた」「年金額を正しく計算していたオンラインのシステムを、年金コンピューターの間違った計算式に合わせる」等とあるのは、事実誤認であり、誤った情報を伝えるものです〉
そのうえで同様の減額ケースが争われた2つの訴訟のうち、1つは最高裁で国が勝訴していることを取り上げて、一方の地裁・高裁判決のみ説明するのは〈誤った情報を伝えるもの〉と反論するのだ。
この「64歳11か月の退職者の年金減額」は一見、特殊なケースのように見えるが、本質は年金制度の根幹に関わる疑惑である。
厚生年金は平均給与(標準報酬月額)で決まる保険料が同じであれば、加入期間(保険料支払い期間)が長いほど多くの年金がもらえる制度だと国は説明してきた。ところが、厚労省の年金計算式では、給料は同じでも加入期間が長い人の年金額が少なくなるという逆転現象が起きている。
なぜ加入期間が長い人の方が年金減額されるのか。厚労省がそれを「正しい年金額」というのであれば、その理由を合理的に説明しなければ国民は年金制度を信用できない。
※週刊ポスト2016年11月18日号