Aさんの話によると、機種変更は5年ぶりだった。それまで使っていた機種のバッテリーの持ちが悪くなるなど、使い勝手が良くないため思い切って最新機種を購入したのだそうだ。そのような事情を聞いても、マホさんとしては納得がいかない様子だった。
「もっと安いスマートフォンならたくさん売っていますし、金銭的に苦しいと話しているママ友会の話題として、高価なiPhone 14 Proの話題を出すのはマウンティグだと思います」
きっと他のママ友も同じ気持ちだろうと思ったマホさんは、この件にモヤっとしたことを仲間のママ友Bさんに打ち明けた。共感してもらえると思っていたが、意外な言葉が返ってきたという。
「『そんなに気にしなくてもいいんじゃない?』と言われました。きっとBさんも余裕のある家庭なんでしょう。ギリギリの生活を送る私と会話を合わせてくれていたのかもしれませんね。どんな会話でも社交辞令で言ってくれているんじゃないか、実はそんなにお金に困っていないんじゃないか、などと考えるようになってしまい、以前のように楽しくママ友会に参加できなくなってしまいました」
生活に余裕を持たせるためにパートへ出ることも考えたそうだが、夫が激務で家事育児を頼れないこともあり難しいと判断。現在はポイ活を頑張りながら、専業主婦として家庭を守っているそうだ。目標は「貯めたポイントで旅行に行くこと」だと話していた。
物価高が与える影響は深刻だ。“スマートフォンの中では少し高め”だったiPhoneも、機種によっては月給近い価格まで値上がりした。マホさんのケースのように、思わぬ形で他人との格差を感じることが今後増えていくのかもしれない。(了)