ここ最近、日本でも浸透してきた「SDGs」という言葉。「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称で、2015年9月の国連サミットで採択されたのち、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標のことだ。
〈貧困を無くそう〉〈飢餓をゼロに〉〈すべての人に健康と福祉を〉〈ジェンダー平等を実現しよう〉〈安全な水とトイレを世界中に〉〈気候変動に具体的な対策を〉といった17の項目からなり、身近なところではレジ袋有料化や簡易包装への移行など、SDGsを意識した企業の取り組みに接する機会も多いだろう。
その動きは企業だけでなく、教育現場にも広がっている。文部科学省によって定められる学習指導要領にも「持続可能な社会の創り手の育成」が明記されており、小中高の授業を通してSDGs教育が実施されている。もちろん、大学でも国立・私立を問わず、SDGs関連の授業は数多く開講されている。
そんなSDGsだが、一部の若者たちの間では「陰謀論」扱いされている現実がある。彼ら/彼女たちはなぜ、SDGsを「怪しい」と感じているのだろうか? そう思うようになった経緯について、話を聞いた。
「SDGsを口にする人には近づかないほうがいい」
都内の私立大学経済学部に通う男性・Aさん(19歳)は、こう語る。
「SDGsって怪しいですよね。僕はサークルの先輩から、『マジで、SDGsって言ってる奴には近づかない方がいいぞ。“レインボーのバッジ”を付けているとさらに危ない』って言われました。先輩いわく、『あれは宗教とかマルチみたいなもんで、ハマってる人は洗脳されている』ということでした」(Aさん)
“レインボーのバッジ”とは、SDGsが目標とする17項目を色分けして環状に配置した「SDGsピンバッジ」のことだろう。そして、SDGsの背後には「何か大きな力が働いている」と力説する。
「僕の大学では1年の必修科目で環境問題について学ぶSDGs関連の授業があるんですけど、一緒に履修していたメンバーも、『日本政府が大学に必修授業を通じてSDGsを強制してる』、『思想を植え付けられて怖い』と言っていた。
SDGsって、市民レベルで取り組んでも解決できない問題を、わざわざ国際問題として取り上げて、強制的に実行しようとしているわけですよね? でも、それで儲けている人たちが確実にいる。『じゃあ、これで誰が得してるんだ?』っていう話です。それを突き詰めていけば、その背後にある“大きな力”の正体がはっきりするのではないでしょうか」(Aさん)