中国産冷凍食品は“前科“があるだけにいっそう心配だ。今回は冷凍の蒲焼あなごや焼き鳥、ばれいしょなどから成分規格に適合しない大腸菌群が検出された。また、冷凍のキハダまぐろカツレツや白身魚天ぷらから、糞便系大腸菌グループの総称である「E.coli(イーコリ)」が検出されている。
「強い毒性で知られるO-157もE.coliに含まれます。E.coliは摂取すると下痢や激しい腹痛、血便などを催し、重篤化すると、溶血性尿毒症症候群などの合併症を引き起こす毒性の強い菌です」(同前)
その他にも、スティックチキンや火鍋用の調味料から特定の成分と混じると発がん性物質となる食品添加物「ソルビン酸カリウム」が検出。また、生鮮食品などから基準値を超える農薬「クロルピリホス」や「ハロキシホップ」が検出された。垣田氏によれば、改善された部分もあるという。
「例年は中国から輸入する貝類やウナギなどの海産物から違反成分が検出されていますが、今回はほとんど見られません。海産物は産地が特定されやすいから管理体制が改善されたのか、たまたま輸入量が少ないのかは不明ですが」
家庭の食卓だけでなく、外食でも遭遇する機会の多い中国産。懸念はこの先中国からやって来る食品が増えるのか否かだ。
「中国はゼロコロナ政策を展開していますが、コロナの収束と共に人員確保や輸送体制が回復し、日本への流通が本格的に再開すると見込まれます。
一方で日本の検疫体制は、年間の食品輸入件数約245万件に対し、検疫を行なう食品衛生監視員は全国400人と圧倒的な人員不足。輸入食品の一部のみ検査するモニタリング検査では、約245万件のうちおよそ20万件しか検査できていません。この検疫体制では、危険な中国産食品の上陸拡大に歯止めをかけられるとは思えません」(垣田氏)
コロナ明けも、うかうかできない。
※週刊ポスト2022年10月28日号