経団連は、新卒採用以外で使われている「中途採用」という名称を廃止し、「経験者採用」に統一するように会員企業へ呼びかける方針だ。新卒者採用だけでなく採用方法が多様化する中、「中途」という言葉が持つネガティブなイメージを払拭し、雇用の流動性を促す狙いだという。この名称変更方針を、世の会社員たちはどう受け止めているのか。取材を進めていくと、経団連の狙いとは裏腹に、疑問や不安の声が続々と聞こえてきた。
「中途」という言葉にマイナスの意味合いはあるのか
転職サイトでアルバイト経験があり、現在IT企業に勤務する30代男性・Aさんは、今回の名称変更の方針に疑問を感じる一人だ。
「転職もすっかり一般的になった時代、『中途採用』という言葉に、そんなにマイナスイメージってありますかね? 『中途採用』は、新卒採用という『定期採用』と対を成す言葉で、単純に欠員補充や事業拡大に伴う増員などを理由としたものというイメージです。むしろ、『経験者採用』の方が閉鎖的というか限定的で、印象が良くない気がするのは、僕だけでしょうか」(Aさん)
求人広告の表記が複雑化することで、採用現場に混乱が広がりかねないリスクもある。
「『経験者採用』にしたら、未経験者でもポテンシャル次第では採用したいと考える会社にとっては、いい迷惑ですよね。経験者採用と銘打ちながらも、『経験者採用(未経験者可)』みたいな謎表記になりかねない(笑)。わかりにくくなって、求職者も雇用主も混乱する気がします。正直、『中途採用』のままでいいと思います。もしくは『未経験者採用』と『キャリア採用』を分けるとか」(Aさん)