味を占めた林さんはアルバイトに明け暮れるようになり、現在は韓国人が経営する別の日本食料理店で働く。
「時給12ドルですが、6時間勤務で稼ぎは120ドル強、週末は200ドル以上になることも。本来留学ビザは週20時間しか働けませんが、いまは空前の人手不足で雇い主も当局もルール違反を黙認している状態です。
ニューヨークは食費がものすごく高いけれど、飲食店のアルバイトなので1日2回のまかないが出ることも大きく、1年で2万ドルの貯金ができました」(林さん)
好待遇に林さんはこのままアメリカでアルバイトを続けて稼ぐことを決め、1年の予定だった留学期間を延長した。
実際、アメリカの賃金は跳ね上がっている。ニューヨークに店舗がある日本の大手和食チェーンのサーバー(ウエーター)の求人には、チップと合わせて最大45ドル(約6750円)の時給が見込まれるとある。
カリフォルニア州では、ファストフードの従業員の最低賃金を最大22ドルに引き上げる「ファスト法」が施行される見通しだ。
賃金上昇に超円安が重なり、ドルでもらった給料を円に交換すると大幅増収となる。
法人を日本から米国に鞍替えして給料アップ
超円安に翻弄されたのが、日本の大手スポーツメーカーの米国法人で働く池住恵子さん(41才・仮名)。
「以前は日本法人に所属したまま米国法人で働き、給料は円建ての国内給与とドル建ての現地給与に分かれていました。ところが日本法人は給料が上がらないうえ、急激な円安とのダブルパンチで、国内給与の円をドルに換えると、あっという間に日本の口座の貯蓄が減っていました」
池住さんは国内給与が35万円で、現地給与が1350ドル。1ドル=102円時代は国内給与をドルに換えると3400ドルだったが、いまのレートは2370ドルほど。円換算で10万円の目減りになる。
「1か月同じように働いているのに10万円も減ってしまっては死活問題で、働いても貯蓄は目減りする一方。恐ろしくなりました。なおかつ賃金が上がらないから、どの企業も現地法人の社員と日本法人の社員に給与の開きが生じてしまう。社員同士が不穏な雰囲気になるケースもあるそうです」(池住さん)