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フランスに移住した日本人が給料の高さ以上に驚いた労働者の権利の重み 「バカンスは5週間」

実際に働いてみてわかった、日仏で大きく異なる「働き方」とは?(写真:イメージマート)

実際に働いてみてわかった、日仏で大きく異なる「働き方」とは?(写真:イメージマート)

 かつての日本は“出稼ぎに行く国”だったが、それも過去の話になっている。賃金が一向に上がらない状況に円安が重なって、今や日本人が海外に出稼ぎに行く時代だ。その行く先は様々だが、ヨーロッパで稼ぐ日本人もいる。

 フランス・パリのレストランでパティシエとして働く山越清美さん(56才)は、夫がフランス人。飛騨高山(岐阜)で店舗経営後、東京の店舗で働いたのち、2010年にフランス・ニースに移住して2013年にパリに移った。日本円換算の手取りは東京15万円、ニース23万円、パリ32万円と着実にアップしたが、それ以上にフランスで感じたのが、「労働者の権利」の重みだ。

「日本のお菓子業界はシェフでない限りパートになって時給で働きますが、フランスはスタッフを社員として扱います。日本は遊びに有休をとりづらいですが、フランスのバカンスは5週間。日本は経営者の方が暮らしやすいけど、フランスは給与所得者の方が生活しやすいシステムになっています」(山越さん)

自分のための自由時間が増えた

 パリ中心部にあるフランス料理店「ナロ」のシェフ・竹田和真さん(36才)は日本の超有名店「ひらまつ」出身。現在、竹田さんの給料は手取り約50万円だが、日本で同じポジションのシェフはおよそ35万円という。だが収入よりも日仏で大きく異なるのは「働き方」だと竹田さんは語る。

「いまは朝9時半に出勤して中休みを挟んで早ければ22時30分に営業が終わる。これが週3日で、残り2日は半休。有給休暇が5週間あり、スタッフが交代して働く環境が整っているので、夏に3週間、12月に1週間、2月に1週間などと休めます。

 日本は週5日、朝から晩まで働くのが一般的で、長期の休暇は難しい。いまの店は基本給が高いわけではないけれど、個人の時間が作れます。自由時間に勉強したり、友達と一緒に食事できるところが気に入っています」(竹田さん)

 日本を脱出した人は超円安の恩恵を受け、そのうえ、異国の働きやすい環境を口にする。大金を稼ぐことも、個人の時間が増えることも、人生を豊かにする。低賃金・長時間労働の日本はどちらも手に入れにくいことがもどかしい。これからの日本と、日本人の幸せのために何が必要だろうか。出稼ぎ日本人の声に大きなヒントがありそうだ。

※女性セブン2022年11月24日号

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