「トランプ大統領誕生によって、米中貿易摩擦が激化し、米中関係は悪化する。中国にとって不利なのではないか」といった見方が多い。しかし、それは一面に過ぎない。
トランプ氏は「大統領就任初日にTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)から離脱する」と宣言している。また、軍事面では日本に対して、「在日米軍駐留経費の負担増」を要求しており、中国封じ込め戦略の後退が懸念される。
しかし、このタイミングで中国は、11月17日から19日にペルー・リマで開かれるAPEC首脳会談を利用して、東アジア地域的経済連携(RCEP)交渉(ASEAN加盟10カ国に、日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの6カ国を加えた16カ国間で形成される自由貿易圏)を加速させようとしているようだ。
さらに、アジア地域でのアメリカのプレゼンス低下は、中国が外交、経済の重要課題としている一帯一路戦略を加速させるのに好都合である。