中央アジアからロシア、ヨーロッパへとつながる陸のシルクロード、ASEAN、南アジア、北部アフリカ、中東から地中海へとつながる海のシルクロードに巨額の資金が投じられ、インフラ建設が進むことになるが、それは、資金不足の各国にとって願ってもないことである。
中国には、国家管理の行き届く強大な金融機関があり、オールラウンドでインフラ投資を実行できる世界レベルの企業がある。大開発から得られる利益は莫大なものとなるだろう。さらに、巨大な経済圏の誕生は、世界最大規模の資金力、生産力を有する中国において、投資、貿易を通じて、多大な利益をもたらすであろう。
一方、米中貿易摩擦の激化は中国にとって確かに痛手である。
1-10月における輸出(人民元建て)を見ると、アメリカ向けの比率は18.3%でEU向けの16.2%を抑え最大である。一方、輸入では全体の8.3%にすぎず、EUの13.4%、ASEANの12.1%、韓国の10.1%、日本の9.2%、台湾の8.7%に次ぐ規模である。
中国から見れば、アメリカへの輸出が多く、輸入が少ない。貿易収支は大幅な黒字であり、黒字額全体の47.3%に達している。アメリカが、こうした不均衡を是正したいと考えるのは当然である。
しかし、問題はなぜこれほどまで貿易不均衡が大きくなったのかという点である。インターネットの普及が急速に進み、生産のモジュール化が大きく進展したことにより、世界はグローバル化が急速に進んだ。こうした革命的出来事を主導したのはアメリカ系の企業である。