アップルやナイキ、ギャップ、ウォールマートが中国を活用できないとなると、困るのは彼らのようなグローバル化したアメリカ系の企業である。
また、中国製品に高い関税をかけてシャットアウトしようにも、いろいろな形で行われるだろう迂回貿易を防ぐのは難しい。
中国は世界最大の輸出国であり、中国の輸出品はほぼ、フルセットに近い。アメリカは、国際貿易そのものを大幅に減らさざるを得なくなってしまう。
また、アメリカが中国を排除しようとすれば、中国もアメリカを排除することになる。そうなると、世界第2位の市場にアクセスできなくなる。また、一帯一路戦略からも排除されることになり、その機会ロスは大きい。
中国が安易に人民元の上昇を許すことはない。人民元が高くなる時は、それが国益にかなうときである。そうなれば、中国企業が強い人民元を背景に世界中の有望資産を積極的に買いに出ることになる。アメリカはそれも防がなければならない。
トランプ氏は優秀なビジネスマンである。中国排除ではなく、AIIB(アジアインフラ投資銀行)に出資し、中国と開発利権をシェアするぐらいの発想があるかもしれない。