食料品から電気・ガスまで、生活に欠かせない様々な商品・サービスの値段が上昇を続けている。そんな“インフレの大嵐”が猛威を振るうなかで、にわかに注目を集めている金融商品が「物価連動国債ファンド」だ。
どんな金融商品なのか。ファイナンシャルプランナー・深野康彦氏が解説する。
「ざっくり言えば『物価が上がるほど儲かる』という仕組みの国内債券型の投資信託です。投資対象は、消費者物価指数の変動に応じて元本が変動し、利息が増減する『物価連動国債』。この国債は、物価が上がれば上昇率に応じて元金が増加し受け取る利息が増えるため、インフレになると投信のパフォーマンスが上がります」
総務省が発表した2022年10月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI)は前年同月比3.6%のプラスとなり、第二次オイルショックの影響が続いていた1982年以来、約40年ぶりの高い伸びを記録した。
この間の激しい物価上昇により「物価連動国債ファンド」でも、高いリターン(騰落率)が実現している。
主な商品としては、大和アセットマネジメントの「日本物価連動国債ファンド」(4.50%=信託報酬を引いた直近1年の年率、以下同)、東京海上アセットマネジメントの「物価連動国債」(4.17%)、アセットマネジメントOneの「MHAM物価連動国債ファンド」(4.01%)などがあり、いずれも4%超の高いリターンとなっている。これらの商品はNISA(少額投資非課税制度)でも購入可能(つみたてNISAは不可)だ。
「ローリスク、ミドルリターン」の投資先
物価上昇の流れをいち早く察知し、同ファンドを購入したという60代男性の話。
「各国の物価上昇が顕著になり始めた2021年の10月、蓄えのなかから100万円を投じてある『物価連動国債ファンド』を購入しました。読みが当たり、今年になって急激な円安進行などで物価が上昇。そのため、ファンドの購入から1年で4%超のリターン(約4万円)がありました。銀行の定期預金に100万円を預けても利息が数十円の時代に、これはありがたかったですね」