前出・深野氏によると、同投信が投資対象とする「物価連動国債」は一般にはあまり知られていないため、マネーリテラシーの高い個人投資家が購入するケースが多いという。今後も「買い」の状況は続くのか。
「消費者物価指数が上昇を続ければ、『物価連動国債ファンド』の優位性、高いパフォーマンスの継続が期待でき、定期預金や個人向け国債よりも投資収益は上回るでしょう。今回の物価上昇は、国際情勢における複雑な要因が絡み合っての結果で、それらがすぐに解消する可能性は低い。インフレの長期化を予測する専門家は少なくありません」(深野氏)
ただし、過度な期待はするべきではない。
「欧米のように物価上昇率が8~10%と急騰しない限り、リターンが年率10%を超えるのは難しい。過度な高収益を期待するのではなく、『ローリスク、ミドルリターン』の投資先と心得るべきでしょう」(同前)
また、消費者物価指数が下落してマイナス(デフレ)になれば、投信のパフォーマンスが下がり、最悪の場合は元本割れするリスクがあることにも注意が必要だ。
そのまま放っておけば現預金の価値が目減りしていく一方のインフレ局面において、あくまでリスクヘッジ、自己防衛策ではあるが、自身のポートフォリオ(投資配分)への組み込みに一考の価値あり、と言えるのではないか。
※週刊ポスト2022年12月16日号