迅速に共有しておきたい「声がけリスト」
葬儀が多様化するなか、親子・兄弟で何を話しておけばいいのか。吉川氏は、「久しぶりの帰省で家族が揃うなら、まず一緒にお墓参りに行くといい」とアドバイスする。
「いきなり本題に入るのではなく、一緒にご先祖に思いを馳せ、お墓をどう守っていくかを話す。先祖代々のお墓がある家では、親が元気なうちに次の世代になった時にどう受け継いでいくかを話し合っておくことも大事。その流れで葬儀はどうするかと話を広げていくと自然でしょう」
親が自身の葬儀に強い希望がない限り、急いで詳細を決める必要はないが、親子で迅速に共有しておきたいのが「葬儀の声がけリスト」だという。
「親が亡くなった時、必ず出てくるのが“誰に連絡したらいいかわからなかった”という声です。特に同居していないケースでは、普段の付き合いも把握できない。手がかりとなるアドレス帳なども、携帯電話の普及で使う人が減りました。リスト化までいかなくても、親の付き合いを把握するキーパーソンのような人の連絡先だけは聞いておくといいと思います。誰に声をかけるかが把握できれば、自然と葬儀の規模感もわかる」(吉川氏)
規模がイメージできたら、複数の葬儀社から見積もりを取るのが望ましい。「子供が地元の葬儀社3社ぐらいから見積もりを取れば地域の相場がわかる」(吉川氏)のだ。
「以前は見積もりと実際の請求額が大きく異なる葬儀社もありましたが、今はなくなってきた。一方で注意したいのが、ネットの宣伝で出ている費用と実際に見積もりを取った際の額が大きく違うというパターン。火葬だけの費用にしても地域によって値段が違ってくる。宣伝にあるのは最低料金で、安置室を使ったりドライアイスを追加すると高くなる。慌てて見積もりも取らずに安い値段の広告を見て頼んだら、後から高い請求書が来ることもあるのです」