しかし、際限なく債務が膨らみ続ければ、かつて財政赤字が問題視されて米国債が格下げになったように、ドルに対する信認が薄れることは十分考えられる。そうなった場合、ドル売りが加速し、ドル安・円高は避けられないだろう」
前例もある。かつて米国ではロナルド・レーガン大統領が大型減税と財政出動で国内経済を立て直す「レーガノミクス」をぶち上げた。これが深刻な財政赤字につながり、最終的にはドル安を招いているのだ。
しかも、今回はもうひとつ不安材料が加わる。
「米国の政策金利を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)で、これまで利上げを強硬に主張してきたタカ派のメンバーが来年交代する。これによってハト派色が強まり、利上げの判断がこれまで以上に慎重になることも予想される。利上げのペースが遅くなれば、ドル金利が上昇せず、これもまたドル安につながりかねない」(前出・市場関係者)
今後の情勢次第では、米国の財政政策と金融政策の両面でドル安・円高が進みかねず、そうなれば「円高→日本株安」へと流れが一変することも予想されるというのだ。