かつて女性が男性に求める条件として、「3高」(高学歴・高収入・高身長)という言葉があった。このなかで、学歴と収入は本人の努力次第で手に入れられる可能性があるものの、身長だけは基本的にどうしようもない。だからこそ、自分の身長に悩みを抱えている男性は少なくないようだ。
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2018年)によると、男性の平均身長は20代が171.7cm、30代が172.1cm、40代が171.3cm。また、結婚相談所くらべーるの調査(2018年、20代~30代の女性211名を対象)によれば、女性が男性に求める「理想の身長」は、64.9%が「170~179cm」を選択したという。一方で、そうした平均値に届かない男性たちは「170cmの壁」を感じるシーンがあるようだ。「平均以下」という現実を突きつけられた、身長160cm台の男性たちのリアルな声を聞いた。
169cmだけど「171cm」ということにしている
現在、身長は169cmだという30代男性・Aさん(メーカー勤務)は、平均身長に数cm及ばない点に引け目を感じている。Aさんは、これまでに「170cmの壁」を感じることが度々あったと明かす。
「少し前に、ゲーム配信者の女性が、“170cmない男性は人権がない”みたいな発言をして炎上しましたが、実際に理想の男性の条件として、『身長170cm以上』を掲げる女性が多いのは事実です。だから、それ以上じゃないといけないという強迫観念があって、僕は普段は『171cm』と偽っています。170cmジャストにしないのは、本当は160cm台で『盛っている』と思われてしまうのが不安だからです。170cmにギリギリ届かないぐらいだからこそ、“ボーダー”に敏感になっています」(Aさん)
Aさんは、自分と同じぐらい、あるいはそれ以上の高身長女性は「むしろ憧れ」だというが、なかなか積極的になれずにいるそうだ。
「まず同じくらいの身長だと、僕が身長を盛っていることがバレそうで怖い。僕の器が小さいと言われればそれまでなんですけど……。もちろん身長にこだわりがない人もいると思いますが、なんだかんだ、男は背が高くて力が強いほうが“男らしい”という固定概念はあるじゃないですか。僕はそういう“男らしさ”の呪縛に苦しんでいることは自覚しています」(Aさん)