米国では経済指標の発表も多い。コンファレンスボードの消費者信頼感指数や、供給管理協会(ISM)が発表する製造業および非製造業(サービス業)の景気指数のほか、雇用動態調査(JOLTS)の求人件数や雇用統計などの雇用指標が相次いで発表される。ISM製造業景気指数は昨年11月分からすでに景況感の縮小を意味する50割れが続いており、底堅いと言われてきたサービス業の景気指数も昨年12月には50割れへと急低下した。
今回の1月のISM製造業景気指数は48.1と前月(48.4)からの悪化が見込まれている。下振れ度合いによっては景気後退懸念が再燃する恐れがあろう。また、ISMサービス業景気指数については、1月は50.4と前月(49.6)から回復する見込み。前月の50割れについては、米国を襲った大寒波の影響との指摘もあるが、小売売上高が2カ月連続で前月比マイナスとなっている中、消費者センチメントの悪化による影響も大きそうだ。ISMサービス業景気指数が今回も50割れとなった場合には、景気後退懸念が再び強まり、株式の売りが膨らみそうだ。注目の雇用統計と合わせて週末の発表となるため、週末にかけては様子見ムードが広がりそうだ。
また、今週は31日から2月1日にかけて米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。市場では98%の確率で0.25ptの利上げが織り込まれている。実際、これまでの米連邦準備制度理事会(FRB)高官の発言から、利上げ幅自体は予想通りとなるだろう。問題はパウエル議長の記者会見だ。現在、市場は年後半に0.25ptの利下げを約2回も織り込んでいる。しかし、FRB高官の中で年内の利下げを示唆している者は現時点ではいない。この市場とFRBとの間の乖離がどのように埋められるかが焦点となる。
米国で一部の経済指標が減速しているのは確かだが、FRBはもともとインフレ沈静化のためには景気後退は止む無しとのスタンスであるため、景気減速がより深刻にならない限りはさらなるハト派姿勢への転換は望めないだろう。まして、足元で中国経済の再開が進み、コモディティ価格が再び高騰してきている最中である。加えて、賃金インフレのピークアウトが確認されつつも、米国の新規失業保険申請件数が昨年4月下旬以来の低水準を記録し、労働市場の逼迫緩和がまだ本物かどうかも定かではない。年明け以降、株式市場が大きく上昇してきている点も考慮すると、パウエル議長の会見内容はタカ派的なものに寄る可能性が高いだろう。企業決算シーズンの最中であることや、週末に重要指標を控えていることもあり、FOMC後に一本調子で急落することはないとは思うが、会見内容には注意しておきたい。
なお、今週は31日に中国1月製造業PMI、米FOMC(~2月1日)、IMF世界経済見通し発表、2月1日に1月新車販売台数、中国1月財新製造業PMI、米1月ADP雇用リポート、米1月ISM製造業景気指数、パウエルFRB議長会見、2日に10年国債入札、欧州中央銀行(ECB)定例理事会、英国金融政策委員会、3日に米1月雇用統計、米1月ISMサービス業景気指数、などが予定されている。