「経済の千里眼」の異名をとり、経営者や大口投資家から絶大な支持を受ける国際金融コンサルタントの菅下清廣氏は、2017年1月に上梓する最新著『世界マネーが狙う「大化け日本株」』(小学館)のなかで、アメリカの「トランプ相場」に引っ張られた日本株の強気予測を打ち出す方針で執筆を進めているという。
外資系金融の経験豊富で、ウォールストリートの動向に詳しい菅下氏は、これから世界の投資家は日本とアメリカにマネーを集中させてくると読む。
日米市場の先行きと、物色される最新候補10銘柄を公開する。
TPPは絶望的でも環太平洋時代は到来する
「トランプ相場」が到来した。
私はウォールストリートで働いていたので知人も多いが、当初は警戒していたドナルド・トランプ大統領誕生に対して、選挙翌日には早くも歓迎ムードに変わっていた。
理由はいくつかあるが、まずヒラリー・クリントン政権であれば金融規制の強化や金持ち増税、法人増税が覚悟されていたのに対し、トランプ氏は真逆の政策を打ち出しそうだからだ。それに加え、大規模な財政出動とインフレ政策も期待される。
ダウ平均は選挙直後に過去最高値を連日更新した。
トランプ氏は実業家であり本業は不動産だ。当然、インフレ政策と公共投資には積極的だろう。意地悪な言い方かもしれないが、トランプタワーが値下がりするような政策はやるはずがない。
確かに懸念がないわけではない。トランプ氏は、オバマ政権が掲げてきたアジア重視の外交姿勢を転換すると示唆しているし、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)にも反対している。
日本経済にとってネガティブな政策を打ち出してくる可能性は十分ある。