保険適用の薬や手術なら、医療費の自己負担が毎月一定額以下となる公的健康保険の「高額療養費制度」が利用できる。高額ながん治療でも、平均的な年収の現役世代は月8万円程度、70歳以上で年収370万円までの人は月6万円弱の自己負担で受けられるのだ。
たとえば、メラノーマ(悪性黒色腫)の治療目的で開発されたオプジーボは、2014年の発売当時、1年間使用した場合の薬価が3000万円を超えた。「高すぎる」と批判も受けたが、その後は保険適用となるがんが10種以上に増えたこともあり、薬価が断続的に改定。現在は当初の4分の1程度まで低下した。
かつて手が届かなかったがんの新薬や治療法も、広く受けられるようになっている。手術、抗がん剤、放射線の「3大療法」以外にも選択肢が広がれば、がんを克服できる可能性も高まるかもしれない。
※週刊ポスト2023年3月3日号