実際の管理の仕方はいろいろあるでしょうが、家計の状態を「見える化」して、財産とお金の収支を定期的に把握しておくことです。多くの人はこれだけで不安が解消されます。もし問題点があってもこの作業をしていれば冷静に対処できるでしょう。
私も会社を休職して平社員になった時には、年収は半分以下になりました。その時には、後述する「財産増減一括表」で家計を管理していたので、必要以上に悲観的にならずに乗り切ることができました。
繰り返しになりますが、金融機関が提示する将来のお金のキャッシュフローの予測や、統計の平均的な数値よりも、まずは自分の足元を確認することが基本なのです。そうすればお金の不安を断ち切ることができます。
独自考案の「財産増減一括表」とは
財産や家計を定期的に把握するというと、家計簿を頭に浮かべる人が多いでしょう。実際には家計簿をつけ始めても長続きしない人が少なくないのも現実です。日々の出費は多種多様なので、家計簿を正確に記録することは想像以上に手間がかかります。
しかし、家計簿を使わずに大雑把に財産や家計の変化を把握する簡単な方法があります。私がかれこれ30年以上も続けているやり方ですが、企業における貸借対照表(バランスシート)を参考に、半年ごとにノートに財産を記載し、変化を把握するというものです。
家計に貸借対照表の考え方を取り入れると聞くと、難しく考える人がいるかもしれません。しかし会計上の知識や専門用語も不要で、項目もシンプルなので、慣れれば30分程度で作成できるようになります。
私はこうして作成する表のことを「財産増減一括表」と名付け、1988年から半年に1回ずつ、実際にこの財産増減一括表を作成して自らの資産を管理してきました。今でもこのノートを見るだけで私の保有する財産の額やその推移を読み取ることができます。一目で財産の状況の変化を確認できるので、とても重宝して使っています。