日本電産ではこうした幹部が出席する会議は週末に開かれる。
「しかも土日は永守さんから幹部に一斉メールが次々と送られてくるので、これに即座に回答しなければなりません。精神的に全く休めませんが、永守さんは『代わりはいくらでもいる。休みたい奴は辞めろ』と公言しています」(同前)
社長だった関氏は週末も会議やメールのやり取りに追われる習慣をなくすよう永守氏に進言していたと報じられた。会議に出席する幹部だけでなく、その幹部をサポートするため中間管理職の社員も出社しなくてはならず、疲弊感が全社的に広がっていたからだ。
ところが、関氏の進言を日本電産が長年培ってきた企業文化を崩壊させるものと受け止めた永守氏は、これに激しく反発。車載事業本部の業績低迷もあって、関氏は昨年9月に社長退任へと追い込まれた。
「日本電産の企業文化を守ると言って、私たちのような外部のメーカーから移ってきた人材の提案を受け止めようともしないのです。これだけ外部人材を大量に採用しておきながら、です。関氏の退任騒動を受け、多くの社員は張り詰めた糸がプツリと切れてしまった。その結果が大量退職に繋がった点は否めません」(同前)
(後編につづく)
取材・文/大清水友明(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2023年3月10・17日号