3月上旬に起きた米国銀行の連鎖破綻は、欧州のクレディ・スイスの信用不安に波及──東京株式市場は一時、全面安の展開となった。日本経済への影響は不透明だが、投資のプロからは、“むしろ今がチャンス”という声が聞こえてくる。いったいどういうことなのか?
株式市場に激震が走っている。総資産約2090億ドルの米銀・シリコンバレーバンク(SVB)と同1103億ドルのシグネチャー・バンクが経営破綻したことに端を発して、スイスの金融大手のクレディ・スイス・グループ(同5690億ドル)まで経営難から株価が急落。日経平均株価は5営業日で1600円超の下落に見舞われ、16日には2万7000円を割り込んだ。「リーマンショック」以来の金融危機を危惧する声も広がっている。
日本経済に与える影響が不透明ななか、一見すると投資には難しい局面に入ったように見える。だが、グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏はこう語る。
「今回の米銀の連続経営破綻が、日本の経済危機を直ちに招くとは考えにくい。今後を見据えれば、一時的に株価が下落している今こそ投資のチャンスといえるでしょう」
表は戸松氏をはじめ2人の投資のプロが「これから株価上昇が期待される」とした銘柄だ。
株価反転の好機をとらえるために、まず着目したいのが「円安の追い風を受ける銘柄」だという。戸松氏が続ける。
「破綻の影響を食い止めるためとはいえインフレが続く米国が金利を下げるとは考えにくい。かたや日本銀行の植田和男・新総裁は従来通りの金融緩和路線を継続する意向を示唆している。そのため当面は日米金利差が維持され、現在のような円安水準が続いていくと見込まれます」