親が亡くなった後の「遺品整理」は、子供に大きな負担がかかる。親本人がいないので「いるのか」「いらないのか」仕分けの判断がつきにくいし、モノをため込んでいた場合、さらに難しくなる。
そうしたことから、親が元気なうちに、「生前整理」をしておけば良かったと悔やむ人は多いようだ。実家の整理に直面し、「ほぼ一人でやりとげた」という70代の主婦・ジュンコさん(仮名)に詳しい話を聞いた。
「実際にやってみて、こんなに大変だと思っていませんでした。絶対に親が元気なうちにやっておいた方がいいです。生前から少しずつでもいいので片づけに着手しないと、地獄を見ます」
そうボヤくジュンコさんの父親は早くに他界しており、7年ほど前に認知症で施設に入った90代の母親を亡くした。その際、実家の遺品整理は「業者に頼めばいい」と甘く見ていたという。だが、その業者に出してもらった見積もりの金額に驚いた。
「世代のせいか、母はモノをため込む傾向が強く、片づけがとにかく大変です。業者に頼目ば安心と思っていたら、見積もり額は全部おまかせで70万円以上かかると言われました。母が元気なうちに、片づけに着手しなかったツケが回ってきたんだと思いました」(ジュンコさん、以下同)
当時、ジュンコさんは墓じまいも控えていたそうで、できるだけお金を節約したい気持ちから姉と妹に相談。「余裕がない」「あんたが一番近い」など、冷たい言葉ばかりで、話が先に進まなかったという。