世界的なインフレに加え、米銀行の破綻に端を発した金融危機が日本経済を襲っている。今春に企業の“顔”となる新社長には難局を乗り切るリーダーシップが求められる。有識者20人が様々な指標から選んだ「期待度」の高い経営者は誰か(文中一部敬称略)。
100年に一度の変革期だ
今春は日本を代表する大企業で「トップ交代」が相次ぐが、これまでとは異なる“大胆な起用”が多く見られるという。経済ジャーナリストの河野圭祐氏が言う。
「『○年ぶり』や『初の○○』という人が目立ちます。世界的な物価高騰など、不透明で不確実な経済状況にある。そうしたなか、過去とは非連続な人事で、思い切った決断ができる人に経営を託す企業が増えています」
本誌・週刊ポストは今回、有識者にアンケートを実施し、「新社長の期待度」の上位20人をランキング形式でまとめた。
1位はトヨタ自動車・佐藤恒治氏。創業家出身の豊田章男社長から14年ぶりにバトンを受け継ぐ佐藤氏は、レクサスブランドなどを手がけてきたエンジニア。約30年ぶりの「理系出身社長」だ。
これまでトヨタは水素自動車(FCV)へ注力してきたため、世界的にシフトが進むEV(電気自動車)分野への乗り遅れが指摘されている。だが、佐藤氏は2月13日の記者会見で、「EVファーストの発想で事業の在り方を大きく変えていく」との方針を示した。
経済ジャーナリストの片山修氏が言う。
「人事で社内FA制度を開始するなど、早くもトヨタの改革を進めている。期待度は極めて高い」