今春に企業の“顔”となる新社長には難局を乗り切るリーダーシップが求められる。本誌・週刊ポストは今回、有識者にアンケートを実施し、「新社長の期待度」の上位20人をランキング形式でまとめた。
1位にランクされたのはトヨタ自動車・佐藤恒治氏。約30年ぶりの「理系出身社長」として注目されている。2位にはソニーグループの十時裕樹氏が入った。経歴的に財務畑でCFO(最高財務責任者)であることが目を引く。その他の新社長たちの注目ポイントはどこにあるのか。
3位のアサヒビール・松山一雄氏にも期待の声が数多く集まった。消費財メーカーのP&Gジャパンなど、複数の企業を渡り歩いてきた「プロマーケッター」として知られる。生え抜きではない社長の誕生は、実に37年ぶりだ。
「松山さんは4年半の間に、『スーパードライ』のリニューアルや、新商品『アサヒ生ビール(マルエフ)』を大胆に売り込んだ。P&Gで学んだ消費者中心の哲学を持ち込み、アサヒのカルチャーまで変えました。前任社長も『明るくて飲んでいて楽しい』『巻き込み力がある』など評価しており、今後どう進化させていくか楽しみ」(経済ジャーナリスト・河野圭祐氏)
ライバルのサントリーホールディングスは2014年からプロ経営者の新浪剛史氏を社長に据えており、飲料業界のトップ争いが熾烈になりそうだ。
4位の日本マイクロソフト・津坂美樹氏もプロ経営者として期待がかかる人物。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)出身で、2005年に米『コンサルティング・マガジン』誌で“世界で影響を与えるコンサル25人”に選ばれている。
「日本企業の管理職に占める女性割合の低さが社会的課題とされるなか、同社初の女性社長としても注目。プロ経営者とダイバーシティーの象徴になれる人材です」(ジャーナリストの大西康之氏)
前例にとらわれないという点では三井住友銀行・福留朗裕氏(12位)も同様だ。千葉商科大准教授の常見陽平氏が語る。
「これまでは旧住友銀行出身者が社長(頭取)になるのが通例でしたが、福留氏は初の旧三井出身。トヨタの金融子会社社長などグループ外企業のトップを務めた人物が就任するのも異例です。IT化や働き方改革の過渡期にある銀行を変える取り組みに期待したい」