「京都市が全国初の空き家税を導入」──総務省が3月24日、京都市が条例で定めた「空き家税」の創設に同意し、大きな話題となった。
京都市が2026年度に導入する空き家税の正式名称は「非居住住宅利活用促進税制」。課税対象となるのは、京都市内の市街化区域内にあり、普段は人が住んでいない戸建て住宅やマンションなどだ。市内約1万5000軒が該当するとみられている。
1200年を超える歴史がある古都の景観保全のため、建物の高さ規制がある京都では、住宅の供給不足が積年の課題だ。そこで京都市は空き家の売却や賃貸利用を促進することで住宅不足を解消しようと、空き家税の新設を決断。固定資産税とは別に税を課すこととなった。
今後、「空き家問題」を抱える他の自治体が京都市に追随する可能性は十分考えられる。親の死後、“地方の実家”が誰にも管理されず空き家となるケースが全国各地で増加し、治安上や衛生上の不安から大きな社会問題と化しているからだ。
全国的な空き家の急増を受け、政府も問題解消に動いている。2015年には「空き家問題対策特別措置法」を施行。倒壊の危険や、著しく衛生上有害となる恐れがある、または著しく景観を損なうなどの基準で自治体から「特定空き家」に認定されると、従来の固定資産税の「住宅用地としての特例」から除外され、税額が最大6倍になることもある。
全国の空き家問題に詳しいNPO法人「空家・空地管理センター」理事の伊藤雅一氏が言う。
「都内に住むある男性は、地方にある実家を相続後、しばらくは定期的に通って庭の草刈りなどをして管理していたそうです。しかし、時が経つにつれそれも難しくなり、雑草は伸び放題に。
見るからに“放ったらかしの空き家”となって建物が朽ちてくると、やがて自治体から『適正に管理するように』との通知が来た。仕事の忙しさもあって対応できずそれも放置したところ、ある時、自治体に『特定空き家』に認定されてしまったそうです」
それまで年2万4000円だった空き家(実家)の固定資産税は、約14万円と6倍に跳ね上がったそうだ。それを受け、男性は急いで売却を決断したという。