「空き家問題」の解消に向け、国と自治体が大鉈を振るい始めた。税制上の優遇措置を縮小し、京都市で導入された「空き家税」の全国拡大も予想されるなど、課税強化も迫る。“負動産”と化した空き家を売却するなら、どのタイミングが最適解なのか。
空き家の処分を考える上では、相続後に慌てることにならないよう、親が存命中に売却を検討してもらうことも視野に入れるべきかもしれない。税理士の山本宏氏が説明する。
「売却のタイミングは、親が老人ホームに入居する時がベストでしょう。老人ホームへの入居のために親が自ら売却すれば、『居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除』が受けられ、売却益が控除の範囲内なら譲渡所得税がかかりません」
親が入居する老人ホームの費用は、自宅の売却代金と平均余命から割り出すことで、本人にとっても子供にとっても「より安心」な将来シミュレーションができるという。
「たとえば、一人暮らしで年金収入が月15万円の75歳の母親がホームに入居する際、自宅を2000万円で売却できたとします。入居金が1000万円で月額利用料が25万円のホームを選ぶと、自宅売却で得たお金の残り(1000万円)は約8年、83歳で使い切ってしまう。
75歳女性の平均余命は16.08年。それまで自宅の売却代金と年金収入でホームの利用料を賄うには、月額20万1800円以下の施設を検討する必要があります」(山本氏)