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事故渋滞に巻き込まれてツアーに参加できずキャンセル料発生 事故を起こした人に賠償請求できるのか

事故渋滞がなければ…(イラスト/大野文彰)

事故渋滞がなければ…(イラスト/大野文彰)

 交通事故を原因とする渋滞に巻き込まれ、何らかの不利益を被ってしまった場合、事故を起こした人物に賠償請求することはできるのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 団体旅行に参加するために空港に向かっていたところ、高速道路で事故渋滞に巻き込まれました。そのため出発時間までに空港に到着できず、ツアーに参加できなかったのですが、キャンセル料を取られました。

 事故を起こした人を調べて、旅行費用やキャンセル料などを請求することはできますか。せっかくの旅行だったのに、事故が原因だと思うと悔しくて仕方ありません。教えてください。(奈良県・56才・アルバイト)

【回答】
 事故渋滞による損害の賠償請求をするためには、事故があなたに対する不法行為になることが前提として必要です。

 不法行為とは「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害」することです。不法行為者はこれによって生じた損害を賠償する義務を負います。

 よって、【1】あなたに権利または法律上保護されるべき利益があり、【2】事故運転者が過失か故意でこれを侵害し、【3】あなたに損害が発生し、【4】その損害と侵害行為との間に因果関係があることが要件になります。

【1】ですが、公道の利用は行政サービスの反射的利益にとどまるとの考えもありますが、村道の通行を全面的に妨害して道路機能を失わせた事件で、村民が「使用の自由権」を有すると人格権(生命・身体・名誉など財産権以外の権利)の一種として認めた最高裁の判決があります。

 しかし、生命などと違い、通行は生活上の利益であり、範囲は明確ではありません。そこで【2】にも関連しますが、事故運転者に過失があっても、事故渋滞による通行障害に違法性が認められる程度にまでならないと人格権を侵害したとまではいえません。

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