いま、家庭菜園を始める人が増えている。2022年5月25日の日本経済新聞では、「350万人が、家庭菜園を耕している」(2020年時点)として、そのムーブメントの正体を分析。男女とも、半数以上が60~70代と報じたが、現在はさらに裾野を広げている。獨協大学教授で経済アナリストの森永卓郎さんも、家庭菜園に魅了されているひとり。
「いまの時期が大変なんです。土を作って、種をまいた苗を植えたりするので時間がかかります。しかもこれから夏まですごい勢いで雑草が生えますし、虫や動物から畑を守らないといけない。まさに、自然との闘いが始まるんです」
森永さんが農業に興味を持ち、畑を始めたのは2018年のこと。当初は群馬県昭和村の道の駅からスペースを借り、プロのサポートを得て農作物を栽培していた。
しかしコロナで群馬に行くのが難しくなり、埼玉県所沢市にある自宅近くの農家に頼んで30坪の農地を借りる。以来、森永さんは鍬一本で畑を耕し、石灰や堆肥を入れて、苗を植えて種をまいた。
「最初はまいた種の半分くらいしか収穫できなかったけれど徐々にうまくなってきた。去年から60坪に畑を増やして20種類以上の野菜を作っています。トマトやきゅうり、なすなどスーパーに売っている野菜はほとんど自分で作ることができるようになりました。去年は難しいのは承知で、ずっとやってみたかったすいか作りにチャレンジ。おかげで60個収穫でき、周囲からおいしいと大絶賛されました」(森永さん)
食料品の値上げラッシュが続くなか、「節約」につながることも家庭菜園の大きな魅力だと森永さんは言う。
「うちはビニールハウスがないから冬場は野菜を買わないといけないけれど、それ以外の時期は自給できます。肉や魚は買う必要があるので完全な自給自足にはならないけど、食費は半分くらいに節約できるはずです。私の感覚では、5坪くらいの広さがあれば家族で食べる量は充分に作れる」