米国の次期トランプ政権で商務長官に決まったウィルバー・ロス氏。対日政策のキーパーソンともいえるロス氏にいち早く注目していたのがパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表取締役の宮島秀直氏だ。宮島氏がロス氏の役割について解説する。
* * *
安倍晋三・首相は、国家のトップとして、主要国の中ではトランプ氏と最も早く首脳会談を行なうことに成功したが、その陰には、あるヘッジファンドの主宰者が深く関わっている。ウィルバー・ロス氏というトランプ氏の経済政策顧問だ。
知日派で、非営利団体・ジャパンソサエティーの会長も務めており、安倍政権とトランプ氏を繋いだ重要人脈といわれている。トランプ次期政権の商務長官にも決まり、経済政策のキーマンであることは間違いない。
そのウィルバー・ロス氏は、「ディストレスト型」と呼ばれるヘッジファンドを主宰しており、日本の上場企業15社の株式に投資をしているのだ。
ディストレスト型ヘッジファンドとは、経営不振や経営破綻に陥った企業に投資をするヘッジファンドのことで、企業の立て直しを目的としている。実際に投資している日本企業としては、幸福銀行、ローランド、大泉製作所などが挙げられる。
こうした背景から、ウィルバー・ロス氏が現在のポジションにいる限り、トランプ政権は、日本の経済・金融政策に大きなハードルは課さないのではないか、と見られている。今後、様々な局面で顔を出すことが予想され、注目すべき存在となる可能性が高い。
※マネーポスト2017年新春号