レインボー色に光る曲がりくねった道路を、ゴーカートやバイクに乗ったキャラクターが疾走する。緑と赤の亀の甲羅をスレスレでかわすも、次の瞬間にバナナの皮で大クラッシュ。ハンドル操作を誤ってコース外に転落したかと思えば、着地場所が運よくワープ道。手に汗握る展開に、観客は思わず声を上げた──これは現在公開中の映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のワンシーンと劇場の様子だ。
米ニューヨークのブルックリンで配管工として働くマリオとルイージが、ひょんなことから冒険に繰り出すストーリー。実際のゲームではクッパに連れ去られたピーチ姫をマリオが助け出すのが定番だが、今回のマリオ映画でクッパに捕らえられるのはルイージだ。マリオはピーチ姫とキノピオ、ドンキーコングらとともにクッパとの戦いに挑む──。
同映画はアメリカなどで4月5日から先行公開され、日本では4月28日に封切られた。初日から多くの観客が全国の映画館に押し寄せ、公開17日間で国内興行収入は80億円を突破。世界興行収入も約1600億円にのぼるなど、空前の大ヒットとなっている。その要因を映画評論家の松崎健夫さんが解説する。
「『マリオ』は1981年に日本で生まれたゲームのキャラクターで、いまや国内外で多くのファンに親しまれています。今回の映画が大ヒットしているのは、やはりゲームの世界観がアニメーションでしっかり再現されていることが大きい。非常に没入感のある作りになっている。ゲームをプレーしたことのある人なら、誰もが胸が熱くなるのではないでしょうか」
全国の上映館で老若男女を虜にしているマリオだが、今回の映画は、「より楽しむコツ」がある。
劇中にはさまざまなマリオが登場する。例えば1988年発売の『スーパーマリオブラザーズ3』で初登場した「タヌキマリオ」や、2021年発売の『スーパーマリオ 3Dワールド+フューリーワールド』で人気の「ネコマリオ」など。
「そういえば、こんなマリオもいたなぁ」と、劇場で思わず笑みがこぼれること必至。事前にゲームでおさらいしてから劇場に足を運べば、より没入できる。