藤川里絵「さあ、投資を始めよう!」

【回復期・好況期・後退期・不況期】株の売買タイミングを見極める「景気サイクル」の読み解き方

景気サイクルを理解すれば売買タイミングを掴みやすくなる(写真:イメージマート)

景気サイクルを理解すれば売買タイミングを掴みやすくなる(写真:イメージマート)

 景気には好況と不況があり、一定の期間で循環するといわれている。そして今のタイミングが景気のサイクルの中でどこに位置しているかは、投資のタイミングを考えるうえで重要な要素になる。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第44回は、「景気サイクル」について。

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 みなさんがご存知のとおり、景気には波があります。永遠に景気がよいことはないし、逆もまた然りです。そして、株価は景気の影響を大きく受けるので、景気を先読みできれば、よりいいタイミングで投資ができます。いったい景気はどのように動いているのでしょう?

40ヶ月で循環する景気サイクル

 景気は40ヶ月程度の周期で、強弱を繰り返すという考え方があります。これを「キチンサイクル」と呼び、米国の経済学者ジョセフ・キチンが提唱したことが名称の由来です。

 キチンサイクルは、在庫の増減に注目したもので、「回復期」「好況期」「後退期」「不況期」を循環します。企業の在庫担当者は、商品の売れ行きに鑑みながら、適正と考える在庫の水準を決定し、その水準を下回るようなら在庫の数を増やし、上回ると在庫の数を減らします。その増減は、関連企業にも影響を及ぼしますので、経済全体に波及するのです。

・回復期
 不況から回復に向かう時期。不況期にモノの値段が下がったことで、徐々に需要が回復し、供給を上回り始めます。在庫の調整も適正な水準となります。

・好況期
 モノがどんどん売れるので、品切れしないよう在庫を積み増します。企業の売上が伸びるので、労働者の賃金も増加し、懐具合があたたかくなります。モノが売れるため、インフレが進行し、過熱感が出ると中央銀行が利上げを行います。

・後退期
 物価が上昇したことで、徐々にモノが売れづらくなっているにもかかわらず、企業が好況期の生産量を継続すると、在庫量が増加します。そこで、企業は在庫を減らすため生産を抑えるようになるので、業績が徐々に悪化し、賃金も低下します。景気が冷え込みすぎると、中央銀行は利下げを行います。

・不況期
 モノがぜんぜん売れなくなるため、企業はさらに在庫調整を行い、工場の操業停止やリストラなども行います。それにより徐々に需給バランスが整い、回復期へと向かいます。

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