人手不足の解消や業務の省力化などを狙って、スーパーやコンビニで相次いで導入されるようになった「セルフレジ」。商品のバーコード読み取りから会計操作までを客自身が行なうため、慣れない中高年層を中心に戸惑いの声は多い。ただ、戸惑っているのは来店客ばかりではない。街中のスーパーや飲食店では、セルフレジでの精算を巡るトラブルに店員側も苦慮しているという現実がある。
東京・大田区の中規模スーパーの40代女性パート店員が打ち明ける。
「現在、当店では9割がセルフレジになっています。ここ2年で急速に導入が進み、私たち『チェッカー(レジ打ち)』のパートの大半が“配置換え”されました。商品の品出しや陳列、食品加工など、いわゆるバックヤード業務に回され、毎月の賃金が下がった人も少なくありません。私はチェッカーとして残りましたが、日々の大半の業務はセルフレジの操作補助。これが、相当ストレスが溜まる仕事で……」
コロナの感染拡大防止(非接触・非対面)を契機に加速した「セルフレジ」の導入。今では当たり前の光景となったが、セルフレジでの精算に苦戦する客は少なくない。不慣れな機械の操作にまごつき、苛立ちを店員に向ける客もいる。
「当店では、商品バーコードの読み取りから精算まで、すべてお客様が行なう“フルセルフレジ”を採用しています。私たちは『バーコードが読み込めない』といったお客様の対応をしますが、『(操作を)教えるヒマがあるなら、あなたがやってよ!』と言ってくる方も少なくない。1人に対応すると、それを見ていたお客様が次から次に『俺も、私もやって』となってしまう。有人レジより余計な手間が増えた印象です」(前出・40代女性パート店員)
メーカーによって異なるセルフレジの操作も、混乱に拍車をかける一因だ。同じ商品を複数購入した際、操作によって一度で精算できるレジもあれば、ひとつずつバーコードを読み取らなければならないレジもある。こういった点が利用客にも大きなストレスになっている。