不肖の息子、岸田翔太郎氏が官邸を去ってから約2か月、同じ首相秘書官として、新たな人物が招集された。首相の同窓生ながら、これまでの身内びいきとはまるで違う。この男、財務省から送り込まれた、別名「増税請負人」である──。
岸田文雄・首相が増税の火消しに躍起だ。
「全く考えていない『サラリーマン増税』うんぬんという報道があるが、どうなんだ」。首相は7月25日に官邸で会談した従兄弟の宮沢洋一・自民党税調会長にそう“詰問”し、宮沢氏が「党税調でそういう議論をしたことは一度もなく、私の頭の隅っこにもない」と説明すると「良かった」と語ったとされる。
そのやりとりを宮沢氏が記者団に披露し、各紙が一斉に「サラリーマン増税を否定」(読売)と報じたのだ。白々しいにも程がある。宮沢氏といえば、財務省OBで自民党きっての増税論者、首相と2人で防衛増税を決めた張本人だ。
なによりこの人事を見れば、増税否定など従兄弟同士の“小芝居”であることは一目瞭然だろう。
7月4日、官邸の人事異動が発令され、新たな首相秘書官に財務省の一松旬(ひとつまつ・じゅん)氏が起用された。一松氏は名門・開成高校出身で岸田首相の後輩にあたる。財務省関係者はこう言う。
「高校時代から成績は常にトップクラス。ガリ勉ではないのに、勉強ができてしまう。東大法学部を経て財務省に入省した後も、エリート揃いの同期の中で頭一つ抜けた秀才で将来の事務次官候補と言われている。財務省では社会保障担当や企画担当の主計官を歴任し、首相肝煎りの防衛増税のスキームをつくった人物です」