これまで日本のFX業者は生き残りをかけてさまざまな分野で顧客獲得競争を繰り広げ、結果として個人トレーダーの投資環境は飛躍的に向上してきた。
かつては米ドル/円で5銭や4銭が常識だったスプレッドは、今や10分の1以下に縮まり、相場が上がるか下がるかだけを予想する「バイナリーオプション」が登場すると、そのシンプルさが受けて大ヒット。2012年から13年にかけてその人気はピークに達したが、同年12月に投資家保護を目的としたルール変更がなされると、盛り上がりが急速にしぼんでしまった経緯がある。
そこで今、投資家の心をつかむサービスとして各社が力を入れているのが、システムトレード(シストレ)である。
初心者にも使いやすい日本独自のシストレ
当初はシストレといえば、ロシアのメタクォーツ・ソフトウェア社が開発した高機能取引ソフト「メタトレーダー(MT4)」が定番だったが、上級者向けであるため初級者が使いこなすにはハードルが高かった。そこへ、2007年にマネースクウェア・ジャパンが一定の注文と決済を自動的に繰り返す独自開発の自動発注機能「トラップリピートイフダン」(通称トラリピ)をリリース。続いて09年にはひまわり証券が「エコトレFX」をリリースするなど、初心者にも使いやすい日本独自のシストレツールが登場し、裾野は徐々に広がっていた。
そして、2012年ごろからは、「ストラテジー」と呼ばれる売買プログラムを選ぶだけで取引を任せられる「ミラートレーダー」が台頭してきた。「選ぶだけ」で売買を任せられる手軽さが受けて口座数はうなぎ上りで、各社はストラテジーの本数や成績、検索のしやすさなどを競い、「パック」や「ポートフォリオ」と呼ばれるストラテジーの最適な組み合わせを提案するなど競争は白熱した。