コーヒーやラーメンなどのサイドメニュー、タッチパネルでのオーダーなど、今や回転寿司の常識となったメニューやシステムをいち早く導入したのが、くら寿司だ。そんなくら寿司が、今年4月に本格導入し、7月から全国47都道府県へ拡大させたのが、地魚地食への取り組み「くらの逸品シリーズ」だ。くら寿司広報部の辻明宏さんはこう話す。
「2010年から漁業者の収入安定化を図り、共存共栄を目指す取り組みを重ね、現在は116か所の漁港や漁協と直接取引し、国産天然魚用の自社の加工施設も設けています。また、今後の課題として海藻を食べ荒らし、くさみがあって食用には不向きな『ニザダイ』のような低利用魚【※】を食用にする実験などにも取り組んでいます」
【※漁獲量が極端に増減したり食べるまでの手間がかかるなどの理由で、とれても市場に流通しない魚のこと】
そんな「くらの逸品シリーズ」で提供される国産天然魚はどんな魚なのか。あまり耳にしない魚を含め、日本さかな検定1級を持つさかな芸人ハットリがわかりやすく解説する。
●【北海道】胆振・日高沖「八角(トクビレ)」
「天狗のような顔つきに大きなヒレ、角ばった体。ハッカクはとてもユーモラスな見た目です。ハッカクは流通名で、標準和名はトクビレ。以前何度か塩焼きで食べましたが、ホッケのような強い旨みと脂でとてもおいしかったです。まだ刺し身で食べたことがないので、ぜひ、くら寿司さんで食べてみたいですね」(ハットリ・以下同)
●【東北】石巻・三陸沖「真そい」
「ソイはメバルやカサゴに近い魚で、北海道や東北に種類が多い。実は真ゾイは通称で2種類の魚を含んでいます。2種は見た目がそっくりで、よほど魚に詳しくないと見分けられないんです。名はキツネメバルとタヌキメバル。なぜキツネとタヌキなのかはよくわかりません」
●【関東/甲信越/静岡】江戸前「すずき」
「イトウ、オイカワと並ぶ日本三大『人の名前っぽい魚』に数えられるスズキ(ハットリ調べ)。全国各地の沿岸域から河川にまで幅広く生息していて、大きくなると80cmにも成長します。味も最高で東京湾でとれる江戸前のスズキは一級品。船橋漁港のものが特に有名で漁獲量は千葉県が日本一です」