日本社会でも「女性活躍」という言葉が掲げられて久しい。企業側は女性社員の育児と仕事の両立を支援するため、産休・育休から復職後も安心して働けるように制度を整えてきた。
ただ、子供を産む側への理解が進む一方で、子育て社員以外の負担が増加する問題も指摘されている。とりわけ人員不足に悩む職場では、子育て社員の仕事をカバーする人たちから声にならない悲鳴が上がっている。
産休社員がいてもかわりの人員は補填されない
メーカー勤務の20代女性・Aさんは、子育て中の社員のサポートで仕事が増えている実態を明かす。
「彼女の産休中の仕事はもちろん、復帰後もサポートが必要です。補充要員は来ず、すべて私や同僚たちの残業でカバー。全ての残業代がつくわけではなく、ただただ疲弊しています。
例えば学校の先生なら、産休の間は代わりの先生が来るじゃないですか。産休・育休する社員がいるなら、その分代わりの人を補填してほしいのが本音です。まあ、実際問題、臨時の人でできることとできないことがあるとは思うのですが……」
Aさんは、産休・育休以外の社員の負担をどうするか考えない会社に不満をいだいており、「名ばかりの女性活躍」を推進していることに憤る。
「言い方は悪いですけど、産休や育休、育児による時短制度は、他の社員の犠牲が前提だと思わざるをえないですよね。これだけ働く女性が増えていて、子供が生まれても働き続ける世の中なのに、その負担を他の社員に強いる体制を改善できていない会社が多いと感じます。しかも、男性が育休を取得するケースも増えているので、今度どうなるのか不安でしかないです」(Aさん)