会社員や公務員にとっては冬のボーナスの時期だ。帝国データバンク「2023年冬季賞与の動向調査」(全国の約2万6972社が対象、有効回答数1万1396社)によると、今年の冬のボーナスの1人あたりの平均支給額について、「変わらない」(42.0%)と答えた企業が最多。
「減少した」(13.8%)、「ない」(12.2%)など、ボーナスの“恩恵”はないという企業も少なくないなかで、前年より「増加した」という企業も24.1%。しかし消費者にしてみれば、物価が高止まりしている中で増税の機運が高まっており、ボーナスが出たからといって手放しには喜べないのが実情のようだ。
生活するうえでの“必要経費”に消えてゆく
「冬のボーナスが昨年より上がった会社もあるそうですが、一部の企業の話ですよね。私自身や周囲を見渡しても、正直景気が良いとは思えません。政府が進めるという賃上げは本当に実現するのでしょうか……」
そう嘆くのは、メーカー勤務の50代男性・Aさんだ。自身はボーナスをもらえたものの現状維持。「いろんなものが値上げしているから、現状維持だと手元に残るお金はマイナス」だとボヤく。
「もちろん、ボーナスをもらえるだけいいとは思っています。本当はパーッと使ってみたいところですが、現実は日々の食費や光熱費、住宅ローン、2人の子供たちの学費を払うため、月給では足りない分の“補填”に消えてゆくだけ。生活するために働くのは当たり前なんですけど、正直、生活するうえでの“必要経費”に消えていくだけで、心が豊かになるような使い方をする余裕はまったくありません。
仕事で稼いだお金は全部生活費に消えてゆく。ボーナスは“あってないもの”だと思っています」(Aさん)