足元の堅調な米国株式市場の状況から判断する限りでは、2024年の米国経済について、楽観的な見方をしている投資家が多いようだ。2022年3月から始まった政策金利の引き上げだが、2023年7月を最後に据え置かれており、直近の雇用、物価統計などの動きをみる限りでは、景気はソフトランディングしそうだ。しかし、不安材料がないわけではない。
世界的に著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイの開示資料によれば、9月末時点でGMやゲーム関連株(アクティビジョン)を全額処分、アマゾンをはじめ、HP、複数の保険会社の持ち株を減らすなど、キャッシュポジションを高めており、手元資金は過去最高に達している。バリュー投資に適する株式が少ないということもあるのかもしれないが、同時に相場の先行きに関して決して楽観的ではないのだろう。
その一方で、12月19日から21日にかけてバークシャー・ハサウェイは、石油・天然ガスの探査・生産を行うオキシデンシャル・ペトロリウムの株式を買い増したことを明らかにした。今回の買い増しで持ち株比率は約28%まで高まっている。
同じ石油株でもシェブロンは9月末の時点で6月末と比べ10%ほど持ち株比率を下げてはいるが、それでも依然として185億ドル相当を保有している。オキシデンシャル・ペトロリウムに対しては長期的に子会社とする意向を示している。
原油価格の変動要因としては、中国、米国、EUなどの景気(需要)動向、OPECプラスの協調減産の行方などが重要であろうが、中東とロシア、中国との政治的な距離が近くなっており、米国の覇権が届きにくくなりつつあること、イスラエルが強硬姿勢を維持しており中東の混乱が拡大しかねないこと、ウクライナ問題の解決が容易ではないことなど、攪乱要因も多い。
WTI原油先物価格の動きをみる限りでは10月以降、下落トレンドが出ているが、バフェット氏は、中長期的に原油価格は高止まり、あるいは上昇すると予想しているのかもしれない。