注目の中小型株をピックアップ
4万円台回復を前に足踏みが続く日経平均株価。そうしたなかで低迷を続けているのが、新興ベンチャー企業250社で構成される東証グロース市場250指数(旧・東証マザーズ指数)だ。今年3月につけた高値780ポイント台から下落基調が続き、5月下旬には一時600ポイントを割りこむなど、さえない展開となっている。はたして新興市場をはじめとした中小型株に上がり目はあるのか。グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏は「日本の中小型株にも魅力的な銘柄はある」という。戸松氏がピックアップした、大化け期待の注目銘柄3選を紹介しよう。
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世界の金融市場を左右する米国では利下げが遠のき、一見すると金融引き締め策が続いているが、マネーの供給量をみると、依然として「過剰流動性相場」であることは間違いない。まして米国に続き、日本でも自社株買いをはじめとした株主還元策の拡充によって、株価には追い風といえる状況にある。
特に日本では、自社株買いの中心はやはり大企業であり、当面は自社株買いを好感した大型バリュー株の相場が続くとみられる。ただし、その流れはやがて中小型株にも波及する可能性は高い。現状では、相場全体のムードから中小型株が大きく買われる様子は見て取れないが、市場シェアが高いなど独自の強みを持ち、最高益更新が相次ぐ銘柄には、大型バリュー株相場が一服したあとに資金の流入が期待できる。そうした意味で、今は絶好の仕込み場と捉えることができる。
まして、東証プライム上場銘柄のなかでも時価総額の小さな成長小型株はちょっとした資金流入でも動意づき、大幅な株価上昇が望める。安値で放置されている分、その値幅は大型株よりも大きくなるに違いない。
ここでは、積極的なM&Aなどで事業を拡大し、過去最高益を更新している「大化け」期待の中小型株3銘柄を、独自の観点からピックアップした。
戸松信博氏が厳選「株価倍増期待」の成長中小型株3選
じげん(東証プライム・3679)
【注目ポイント】
求人や不動産情報を一括検査する集約サイトを展開。「マッチングテクノロジー」と呼ぶ技術が強みで、データを詳細に解析してマッチングの確率を高め、集客のコストを下げている。また、M&Aに積極的で事業を拡大。3期連続で過去最高益を更新、今期(2025年3月期)も増収増益見通しとなっている。さらに株主還元としては、過去最大の自社株取得金額28億円を予定。成長率に比べると今期予想PER(15倍前後)には割安感がある。
ヨシムラ・フード・ホールディングス(東証プライム・2884)
【注目ポイント】
各地の食品企業をM&Aすることで業績を拡大。最近でも、ホタテ、サケ、イクラなど北海道の海産物を扱うマルキチやワイエスフーズをグループ化するなど、積極的なM&Aを進めている。コロナ禍を経て、飲食・観光(ホテルなど)が立ち戻ってきたことにより、足元では原料価格高騰に伴う価格改定の実施、生産効率化を強化したことにより、大幅な増収増益を達成して最高益を更新している。インバウンドも追い風とみられ、今期(2025年2月期)も増収増益の見込み。
ビューティガレージ(東証プライム・3180)
【注目ポイント】
理美容機器や業務用化粧品の通販最大手。物販事業が売上の約8割。国内ナンバーワンの圧倒的な美容事業者会員基盤が強み。サロンに必要なものが全て揃う商品ラインナップを有し、業界最大規模のロジスティクス機能を持っている。累計会員口座数は2017年末の34万5229件から2022年末には59万3112件へと大きく伸びている。最大手の強みを生かし、2023年第1~3四半期のアクティブユーザー数は10.2%増、購入顧客件数も17.1%増と好調が続き、業績は右肩上がり。6月10日発表予定の今期(2024年4月期)決算でも過去最高益の更新が見込まれる。
いずれも東証プライム上場とはいえ、時価総額は1000億円に満たない小型成長株である。日本国内のインフレが本格化するなか、内需のなかでもそれぞれ独自の強みを持って拡大を続けており、株価は少なくとも今後2~3年で2倍以上は期待できるのではないかとみている。
【プロフィール】
戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。