買っていい/買ってはいけない物件の判断方法とは(イメージ)
年収450万円から総資産30億円を築いた人気不動産投資YouTuber「不動産アニキ」こと小林大祐氏(48)。不動産コンサルのホームコンサルティングソリューションズ代表取締役を務める傍ら、自身のYouTubeチャンネル「不動産アニキの非常識な投資学」(登録者数4万5000人超)で情報発信を続けている。
小林氏は不動産投資で資産を増やしたが、不動産で“ラクして儲けられる”と思い込んで安易に手を出すと大損害を被ってしまうという。「2030年問題」や「不動産バブル崩壊」などのリスクも指摘されるなか、小林氏が不動産投資に失敗しないためのポイントを指南する。【前後編の後編。前編を読む】
(ページ内では、《小林大祐士が不動産投資にオススメするエリアとその理由》を図表で紹介)
不動産バブルは必ず崩壊するが、影響が小さいエリアもある
昨今は「不動産バブル」と言われていますが、これは東京の港区や中央区など一部の地域のみの話です。簡単に説明すると、日本は元来資源がないので作ったものを輸出するアウトバウンドか、外国人に日本に来てもらってお金を落としてもらうインバウンドしかない。インバウンドは戦後ずっと貿易摩擦が騒がれるくらいにやってきているので、それで国家戦略としてまだまだ未着手だったインバウンドに力を入れるようになり、その一環で都心部を再開発して外国人富裕層向けの物件が次々と建てられるようになった。麻布台ヒルズの高級住宅「アマンレジデンス東京」なんて価格は最低20億円からで、最高は200億円ですから、最初から日本人を相手にしていないですよね。
そこに台湾有事のリスクや円安も重なり、日本の都心部に外国人の富裕層たちの投資マネーがさらに集中するようになった。その結果、都心部の不動産価格はどんどん高騰し、近隣エリアまで連鎖して価格が上がっている。それがいまの「不動産バブル」の構図です。
いまは外国人の富裕層の投資マネーが日本の都心部に集まっていますが、そのうち別の国とか地域に良い投資場所が出てきたら、そちらにマネーは逃げていく。なので、「不動産バブル」はいつか必ず崩壊します。
では総崩れになるかといえばそうではなく、場所によって変わってくる。たとえば目黒区や世田谷区などの「実需」(住宅用地としての需要)があるエリアは、いまのバブルが崩壊しても、そこまで価格は下がりません。
投資マネーで高騰しているだけなのかを見極める
一方、同じ都心部でも、さほど実需がないのに投資マネーの集中によって価格が上がり過ぎているところは「需要過多」の状態になっている。そういう物件はいずれ投資マネーが逃げていったら価格は一気に下がります。つまり、都心部の不動産の場合は、投資マネーで高騰しているだけなのか、実需がしっかりあるのか、といった点を見極める必要があります。
日本で価格が上がる不動産というのは基本的に、「再開発」と「新しい駅ができる」という2つの要因しかありません。近年は高輪ゲートウェイや虎ノ門ヒルズなどの新駅ができていますし、港区や品川区では再開発が進められていますが、そういうエリアは不動産の価格が上がります。
再開発や新駅の中心エリアは価格が高いので、個人で買うとなるとなかなか難しいと思いますが、そのエリアに隣接する地域とか通勤できる地域も価格は上がるので、投資をするのに現実的ではないでしょうか。たとえば千葉県の松戸や柏といったエリアは、都心部に通勤できるし、実需もしっかりあるので悪くないと思います。
地方の物件の「買っていい」「買ってはいけない」の判断基準
「買ってはいけない物件」についてですが、「2030年問題(少子高齢化の進行によって2030年に表面化する問題の総称。GDPの低下などが考えられる)」によって、地方の土地は必ず無価値化していく。なので「地方の高利回り物件」に手を出すのは基本的にNGです。投資においては「高利回りが正義」というような風潮がありますが、結局、利回りを高くしないと売れないような物件だから、そういう数字が謳われているわけです。
でも、高い利回りだけに釣られて地方の物件を買ってしまうと、寂れたシャッター街の物件をつかまされたりする。場所によってはどんどん価値が下がっていき、「元本棄損リスク」が高くなる可能性もある。たとえば最初のうちは15%の利回りで回っていたとしても、そもそも賃貸需要が少なかったりするので、結局空室が埋まらずに5~6%になったりして、首が回らなくなります。
逆に元本棄損リスクの低い物件は、最初から利回りが低くなっている。分かりやすく言うと、銀座の不動産と田舎町の不動産が同じ利回り5%だったら、みんな銀座のほうを買いますよね。だから田舎町は利回り10%つけないと売れないということなのです。
ただし、「地方の物件は買ってはいけない」ということではなく、たとえば大阪では「うめきた」、福岡では「天神ビッグバン」という大規模な再開発が進められていて、巨大なビルやタワマンがどんどん建てられている。それらのエリアの中心部や、実需がある隣接エリアが狙い目だと思います。
また、自動車産業の代名詞であるトヨタがある愛知、ヤマハやホンダなどの製造業が集積している浜松、航空宇宙産業があるつくば、造船業や自動車産業の広島、YKKがある富山など、産業基盤のある街であれば、仕事を求めて人が住みますので長きにわたって住宅用地としてニーズがあるし、高級住宅街も作られます。そういう地域であれば人口減少の影響をまだ受けにくいため手堅いですよ。「不動産バブル崩壊」が叫ばれている中でも、不動産の価格はさほど影響を受けないと思いますね。
小林大祐士が不動産投資にオススメするエリアとその理由
■前編〈人気YouTuber「不動産アニキ」小林大祐氏が教える“不動産投資の極意” 「一発目で利益を出すのは無理」「土地値比率に注目して物件を選ぶ」〉を読む
【プロフィール】
小林大祐(こばやし・だいすけ)/ホームコンサルティングソリューションズ株式会社代表。1976年6月7日生まれ。大学卒業後、富士ゼロックス関連会社に就職。富士ゼロックス本社に移籍。企業戦士となるが、「株式会社は株主の為に存在する事」に気づき27歳の時に兼業で創業。金無しコネ無し知識無しの全くのゼロから、総資産30億円を築く。2023年11月から運営するYouTubeチャンネル「不動産アニキの非常識な投資学」が人気に。