夫婦どちらかが先に逝った時、遺された側がまず直面するのが押し寄せる「死後の手続き」である。解約するもの、申請するもの、そして相続の準備……喪失感のなか行なうにはあまりに膨大な作業だ。死後1か月で済ませるべき手続きが終わると、いよいよ相続の手続きが本格化していく。
■【一気読み・保存版】死後の手続きカレンダー 死後1週間以内、1か月以内にやるべき手続きから、揉めない相続の手順まで
勝手に遺言書を開封したら過料5万円! 揉めない「相続」の手順
葬儀を終え四十九日が過ぎると、相続の手続きが本格的に始まる。
必要があれば死後10か月までに相続税の申告と納税をするが、期限が決められた他の相続に関する手続きも行なわなければならない。司法書士行政書士MY法務事務所代表で司法書士の村田洋介氏が言う。
「遺言書があるとスムーズに手続きが進みます。まず遺言書の検認をします。家庭裁判所で遺言書を開封する作業のことで、遺言書は自宅で勝手に開けると5万円以下の過料を科される場合があります」
検認せずに遺言書を実行しようとしても無効となり、相続手続きができないので注意したい。なお2020年7月から自筆証書遺言を法務局で管理してもらえる制度ができ、これを利用すると検認作業が不要になる。亡くなると指定した人へ遺言書の存在を通知してもらえることもメリットだ。
死後3か月には、相続しない場合の相続放棄申述書の提出期限がやってくる。司法書士法人東京さくら代表で司法書士の三浦美樹氏が言う。
「相続財産に負債が多い場合、相続するとその負債も相続人が請け負うことになります。相続を放棄すればその責は免れますが、亡くなったことを知ってから3か月以内に決めなければなりません。期間内に申し立てなければ自動的に相続することになります」