内閣人事局調査によれば、2024年の通常国会中(2月5日~3月31日)、「官僚が答弁を作り終えた時刻の平均は、委員会当日の午前0時48分」だったという(朝日新聞2024年7月24日付け)。霞が関官僚の長時間労働の問題は今に始まったことではないが、何度も俎上に載せられながら、なぜいっこうに改善されないのか? この現実こそ、日本の機能不全の象徴ではないのか──。
人口減少問題の第一人者で、最新刊『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』が話題のジャーナリストの河合雅司氏(人口減少対策総合研究所理事長)が解説する(以下、同書より抜粋・再構成)。
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最近、日本の崩壊の足音が聞こえてきたと痛感するのが、国家公務員人気の陰りである。
採用試験の申込者数の落ち込みは顕著だ。人事院によれば2022年の総合職試験は1万8295人にとどまり、2011年の2万7567人と比べて33.6%減だ。
2024年の春試験でも人気の陰りは続いており、総合職試験の申込者数は過去最少の1万3599人となった。倍率も7.0倍と過去最低を記録した。
地方公務員も受験者数が大きく減ってきているのだが、なぜ公務員離れが鮮明になってきたのか。要因は複雑だ。国家公務員と地方公務員とでは異なる部分もある。
東大生の「キャリア官僚離れ」が進んだ理由
人事院によれば、国家公務員採用試験申込者数の落ち込みは総合職だけではない。2011年と2022年を比較すると一般職試験(大卒程度試験)は39.5%減、一般職試験(高卒者試験)は43.1%減だ。
このうち総合職に関しては、人気の陰りを象徴する大きな変化がもう1つ見られる。東京大学からの合格者が激減しているのである。
国家の政策の企画立案などに携わる総合職と言えば、「キャリア官僚」と呼ばれる各省庁の幹部候補であり、東京大学出身者が例年トップを占めてきた。2023年の春試験においても大学別では東大の193人が最多だったが、前年度と比べて24人減った。現行の総合職試験制度となってから最少だ。東大からの合格者が200人を下回ったのは初で、10年前と比べると半減である。