*11:15JST ナレルグループ:建設業向けの技術者派遣でトップの成長性・収益性、配当利回りも4%超
ナレルグループ<9163>は、建設業向けの技術者派遣、IT業界向けの技術者派遣・システムエンジニアリングサービスの提供を主な事業として取り組んでいる。セグメント別では、建設ソリューション事業(ゼネコン等の建設会社に施工管理技術者、CAD技術者等の人材派遣)が2024年10月期第3四半期売上高の89.5%、ITソリューション事業(SIer等の開発案件・インフラ管理業務に対する人材派遣など)の同構成比は10.5%を占める。
建設ソリューション事業は建設・プラント業界向けに、施工管理業務、CADオペレーター等の技術者派遣を行うとともに、施工図作成の請負業務も行っている。主に、建築・土木・空調衛生・電気設備を受注領域とし、建設業の様々な領域に技術者を派遣。直近では、TSMC熊本工場建設、東京五輪関連施設、リニア・風力発電などに携わっており、依頼元である施工会社と、現場作業員である職人の間を繋ぐ重要な役割を担っている。また、ITソリューション事業はSIer等の開発案件・インフラ管理業務に対して、IT技術者等の人材派遣やSES(システムエンジニアリングサービス)契約による受託を行っている。主なエンドユーザーとしては、通信業、金融業向けの開発案件が挙げられる。両事業ともに、採用においては未経験者採用を中心としている。
2024年10月期第3四半期累計の売上収益は前年同期比21.0%増の15,801百万円、営業利益は同17.7%増の2,149百万円で着地した。旺盛な建設人材需要によって在籍人数及び契約単価が伸長、建設ソリューション事業・ITソリューション事業ともに好調に推移している。建設ソリューション事業における契約単価は第2四半期から1,000円増加し51.1万円に、同四半期の採用人数は381名となり前年同期比33名と順調に増加。また、稼働率は93.7%となっており、退職率は同0.8pt改善して28.5%。通期の売上収益は前期比21.3%増の21,830百万円、営業利益は同12.2%増の2,770百万円を見込む。
建設業界は、市場規模が拡大傾向にある一方で慢性的な人材不足・技術者の高齢化・DX化の遅れなどの課題を抱えており、旺盛な需要が続いている。実際、2022年の建設技術者派遣需要は約6.3万人が不足していたようで、建設技術者人材の需給ギャップは今後も埋まらないことが見込まれている。このような状況下で、同社は建設業向け技術者派遣の分野において、競合企業と比較しても既に一定の売上規模を有しており、中でも2021年から2023年の売上高成長率21.8%、営業利益率13.7%と技術者派遣企業において高い成長性・収益性を誇っている。高成長・高収益を支えるナレルグループの仕組みは、未経験者採用戦略による「採用力」と「単価向上余地」にある。効率的な採用システムにより2020年から2023年における年平均成長率CAGR17.6%で採用数を増加できており、2024年9月末時点の在籍人数は3,236人に達している。また、建設業界で特に不足している若手人材の安定供給が可能であることから、構造的に契約単価の引き上げがしやすい年齢構成となっている。若手人材の育成メソッドを確立し2年目以降の稼働人数が増加したことから、過去3年間における契約単価は上昇傾向にある。今後は、派遣事業の更なる拡大・人材紹介サービスへの展開を強化し、中期的に建設ICTコンサルティングへの展開も想定しているようだ。既に社内研修制度を構築済みのようで、今後社内教育を通じて建設ICT人材を教育していくという。そのほか、安定配当による株主還元を計画して配当性向は今期48%が想定されており、配当利回りは既に4.5%を超えて推移。今後の高成長・高収益によって安定的なインカムゲインが想定できそうだ。市場規模が拡大する中でも慢性的な人手不足の建築業界において、競合と比較してもトップの成長性・収益性を持っている同社の今後の動向はしっかりと注目しておきたい。
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