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【注目トピックス 日本株】C&R社 Research Memo(8):2025年2月期業績は下振れリスクが残るものの、第3四半期以降は増益基調へ

*13:08JST C&R社 Research Memo(8):2025年2月期業績は下振れリスクが残るものの、第3四半期以降は増益基調へ
■業績見通し

1. 2025年2月期業績見通し
2025年2月期の連結業績は、売上高で前期比10.4%増の55,000百万円、営業利益で同17.0%増の4,800百万円、経常利益で同16.0%増の4,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同16.6%増の3,100百万円と期初計画を据え置いた。ただ、中間期までの進捗率が売上高で47.0%、営業利益で45.7%と、直近3期間の平均進捗率(売上高50.6%、営業利益63.4%)を下回る水準となっており、計画達成のハードルは高くなっている。クリーク・アンド・リバー社<4763>では、足元でエージェンシー事業の受注が回復してきていること、下期に自社開発のゲームタイトル及びオリジナル電子コミックのリリースを複数予定しており、これらの販売状況なども見極める必要があることから、今回は据え置いたものと考えられる。

四半期業績の推移で見ると、第3四半期以降は前期比で増益基調に転じる公算が大きく、短期的な業績は底を脱したものと見られる。なお、2025年春の新卒社員の内定者数は、2024年10月時点で296名となっている。最終的には300名強と2024年(361名)を下回る水準となる見込みだ。このため、2026年2月期の業績に目を転じれば、人材採用・教育コストの減少が見込まれること、並びに医療分野の収益も構造改革の効果により大きく改善することから、利益の成長ペースは2ケタ台に復帰する可能性が高いと弊社では見ている。

その他事業が通期で黒字転換する見通し
2. 事業セグメント別見通し
(1) クリエイティブ分野(日本)
クリエイティブ分野(日本)は、売上高で前期比9.8%増の38,500百万円、営業利益で同11.2%増の3,200百万円と増収増益を見込んでいる。テレビ・映像、ゲーム、Webなど主力分野でプロデュース及びエージェンシー事業を伸ばす計画であったが、第2四半期までの進捗はゲーム、Web分野を中心に計画を下回るペースとなっている。ただ、足元の需要は回復傾向にあるほか、下期は自社開発のゲームタイトル及び電子コミックのリリースを予定しており、これらタイトルがヒットすればキャッチアップできる可能性がある。

ゲームについては、人気造形作家Yoshi.氏のオリジナルコンテンツ「紡ギ箱」※をゲーム化した共依存アドベンチャーゲーム「IZON.」を2024年末~2025年にかけてリリースする予定となっている。2024年9月に開催された「東京ゲームショウ2024」に出展し、試遊した来場者からは好評が得られたと言う。

※ 「IZON.」の世界観の元となる作品で、不思議でどこか切ない独特の世界観を持ち、国内外で多くの支持を集めている。

また、電子コミックについてはオリジナル作品を2024年9月に2本リリースしたのを含め、期末までに6本のタイトルを投入する予定である。これら新作がヒットすれば、低迷していた電子書籍の収益も回復に転じる見通しだ。

そのほか、ゲーム分野では為替の円安によるコスト競争力を生かして、海外需要を取り込むべくカナダに支社を開設し、営業活動を強化している。海外パブリッシャーから見れば円安は開発コストの低減につながるため、国内最大級の開発ネットワークを持つ同社に発注するメリットは大きい。ゲーム分野の2024年2月期の売上規模は約130億円でほぼ国内向けだが、今後は海外市場を開拓することでさらなる成長を目指す戦略である。まずは、2025年2月期中に受注実績を作ることを目標としている。

また、需要が強いAI/DX分野を強化すべく、同社(DX分野)、リーディング・エッジ社、Idrasys及びリヴァイの4社で構成する「C&R AI/DXスタジオ」を開設しており、グループのリソースを共有することで同分野を開拓する方針だ。具体的なサービスメニューとしては、AI/DX導入サポート、AI/DXに関する教育・コンサルティング、AI/DXメディア事業、MA(Marketing Automation)運用支援などのサービスを展開する。グループの5万社を超える顧客への導入提案だけでなく、中小企業向けには無料相談窓口「DXの森」を通じて新規顧客の獲得につなげる。AI/DXにIT分野を含めた売上規模は2024年2月期で30億円弱程度とまだ小さいが、成長ポテンシャルは大きいだけに今後の動向が注目される。

(2) クリエイティブ分野(韓国)
クリエイティブ分野(韓国)の売上高は前期比7.1%減の3,300百万円、営業損失は40百万円(前期は41百万円の損失)を見込んでいたが、経営体制見直しの効果により損益面では第2四半期に黒字化を達成しており、通期でも3期振りに黒字に転じる公算が大きい。低迷していたテレビ局向け派遣の需要が若干ながらも上向きはじめたほか、損失が続いているコンテンツ事業もヒット作品の創出や開発コスト低減に取り組むことで収益化を目指す。

(3) 医療分野
医療分野の売上高は前期比7.1%増の5,800百万円、営業利益は同8.2%増の1,400百万円を計画している。ただ、構造改革に時間を要したことにより、エージェンシー事業の売上回復時期が2025年春にずれ込む公算が大きく、計画の達成は厳しい状況である。とは言え医師の紹介需要は引き続き旺盛であることに変わりなく、2026年2月期の収益は大きく回復する可能性が高いと弊社では見ている。なお、クリニック開業支援サービスについては2025年2月期中に新たに2施設の開業を予定しており、合計4施設となる。

(4) 会計・法曹分野
会計・法曹分野の売上高は前期比8.1%増の2,700百万円、営業利益は同16.8%増の200百万円と増収増益を見込んでいる。第2四半期まで続いていた成約長期化の動きは解消されつつあり、第2四半期までの遅れを下期にどの程度取り戻せるかが計画達成のカギとなる。

(5) その他事業
子会社で構成するその他事業については、売上高で前期比37.0%増の5,000百万円、営業利益で50百万円(前期は200百万円の損失)を見込む。中間期までの売上高の進捗率は49%と順調に推移しており、営業利益の黒字化達成も射程圏内と言える。売上高は前期末に子会社化したShiftallが加わることで10億円強の増収要因となり、既存事業ベースでは1割程度の増収となる。利益ベースでは、前期まで損失計上していた子会社のうち9社が黒字転換する見通しだ。

なかでも成長市場であるAI/DX分野を担うリーディング・エッジ社やIdrasys、リヴァイなどのグループシナジーが期待されるほか、VR JapanやShiftallなどXR領域で事業展開を進める子会社の動向も注目される。Shiftallでは2024年10月より超高精細8K対応で超軽量(185g未満)を実現したVRヘッドセット「MeganeX superlight 8K」(税込約25万円)の先行予約販売を開始しており、さらなる売上拡大を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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