投資情報会社・フィスコが11月25日~11月29日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は伸び悩みか。米インフレ再加速が鮮明になり、連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げの後退を見込んだドル買い・円売りが再び強まる可能性がある。ただ、日本の為替介入が警戒され、短期的にリスク選好的な米ドル買い・円売りはやや後退しそうだ。今月発表された米国の消費者物価指数(CPI)と14日の生産者物価指数(PPI)でインフレ率は再加速。パウエルFRB議長は今後の政策運営について、利下げを急がないスタンスを明確に示している。
FRBが政策判断の材料としているPCEコア価格指数はこのところ、低下の度合いを弱めている。今週発表の同指数は前回を上回るとみられ、さらにインフレ再加速を裏付ける材料になりやすい。一方、直近の連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場の予想通り0.25ポイントの利下げを決定。ただ、パウエル氏の見解を受け12月の会合では利下げ一服の可能性があろう。その際にはドル買いを強める可能性があろう。
なお、円安進行阻止に向けた日本政府によるドル売り・円買い介入はドル・円が155円以上の水準で実施される可能性が高いとみられているが、市場参加者の間からは「ドル上昇ペースは急激とは言えない」との声が聞かれている。そのため、為替介入は現時点で想定しにくい。ただ、円安が続いた場合、日本銀行による12月利上げ観測が強まり、ドル円相場を圧迫する要因となり得る。
【FOMC議事要旨】(26日公表予定)
FRBは今月6-7日のFOMCの議事要旨を26日に公表する。この時は0.25ポイントの利下げを決定したが、次回12月に向けハト派色を弱めれば強いドル買い要因に。
【米10月コアPCE価格指数】(27日発表予定)
27日発表の米10月コアPCE価格指数は前年比+2.8%と、前回の同+2.7%から小幅上昇の見通し。想定通りなら緩和的な金融政策の後退を見込んだドル買いの手がかり。