日本株の高騰が続いているが、プロのファンドマネージャーはどんな視点で運用しているのか。これまで国内小型株中心の運用で高いパフォーマンスを出し続けているレオス・キャピタルワークスの最高投資責任者・藤野英人氏が解説する。
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私が運用責任者を務める「ひふみ投信」では、これまで小型株中心の投資戦略をとってきた。大型株が伸び悩むなか、われわれのように小型株中心で運用するファンドが勝ちやすい相場が続いてきたため、当然の判断だった。
しかし、大型株にも効率経営が求められる趨勢となっている以上、それを無視するわけにはいかない。ひふみ投信の組み入れ銘柄も、結果的に大型株のウェイトが高まることになるだろう。
では、大型株の中では、どのような銘柄に目を向ければよいのか。答えはシンプルだ。従来の小型株同様、経営者の資質を見極めればいい。
とはいえ、個人投資家が腕力や先見性、リーダーシップといった経営者の資質を見抜くのはなかなか難しい。そこで、社長交代のニュースに常に目配りし、新社長がどういう人物と報じられているかくらいはチェックしておきたいところだ。あるいは企業のホームページで顔写真を掲載するなど、「会社の顔」としてわかりやすいかどうかも判断材料になるだろう。
加えていえば、ROE(株主資本利益率)という指標が重視されてくるので、「経営の効率性」に関してどのような戦略を持っているかが重要となってくる。
裏を返せば、これまで効率的な経営ができてこなかった企業は狙い目といえるかもしれない。たとえば「ROEが5%以下」で「現預金を持っているキャッシュリッチな企業」で株価が冴えない銘柄はターゲットになり得るだろう。
そのような企業に対しては、おそらくこの春以降、機関投資家を中心に市場から効率経営を催促される場面が増えてくる。そうした際に、経営方針を変革する意思を見せるような企業は、その後の株価上昇期待も高まってくるに違いない。
※マネーポスト2015年春号