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《本当に対等な関係が築けるのか》ホンダと日産が経営統合へ、決断を急がせた「鴻海の思惑」 業務提携時から浮上していた懸念

8月に共同会見した日産の内田社長(左)とホンダの三部社長(右)

8月に共同会見した日産の内田社長(左)とホンダの三部社長(右)

 12月18日付の日本経済新聞が一面トップで〈ホンダ・日産統合へ〉の大見出しを打った。報道によれば、両社は持ち株会社を設立するかたちでの経営統合に向けた協議に入るという。実現すれば販売台数の規模は世界3位となる。日産が筆頭株主となっている三菱自動車の合流の可能性もあるという。

 日産とホンダは今年3月に包括的な協業に向けた検討を始めていた。8月1日にはホンダの三部敏宏社長と日産自動車の内田誠社長が共同で記者会見。次世代EVに関して共同研究契約を結んだと発表し、EVの車載ソフトやバッテリーなどの共通化などを進めるとしていた。

 それが一気に統合へと進んだ背景には、台湾電機大手・鴻海精密工業の動きがあったという。日経新聞電子版は〈鴻海は経営不振の日産に狙いを定め、水面下で経営に参画しようと動いていた。鴻海の思惑が実現すれば、ホンダと日産の協業が白紙に戻りかねない〉と報じ、それによって両社は統合の決断を急いだとしている。大手紙経済部記者が言う。

「鴻海では、日産の元ナンバー3で日本電産(現ニデック)社長も経験した関潤氏が、EV事業を担い、最高戦略責任者(CSO)を務めています。関氏の知見も活かしながら鴻海は、ルノーが保有していた日産株の取得に向けて動こうとしていたとされます」

 鴻海による経営参画を避けるために、統合へと舵を切ったとみられているわけだが、それによって業績は上向くのだろうか。とりわけ日産は、中国と米国の販売で苦戦している現状がある。

 8月の次世代EVの共同研究契約についての両社社長会見の時点で、金融関係者の「販売規模では日産とホンダはほぼ対等でも、収益力や財務力では差があり過ぎる」との声を報じていたのが、長年にわたり自動車業界を取材してきたジャーナリスト・井上久男氏だ。

 たしかに、8月15日時点での時価総額はホンダが約8兆1655億円に対し、日産は4分の1にも満たない1兆6000億円程度だった。マネーポストWEBの別記事《【自動車業界再編を図解】ホンダ&日産の「EV連合」に三菱自動車が参画、トヨタグループと2大勢力時代へ 日産が保有する三菱自動車株をホンダに売却する可能性も》《「本当に対等な関係が構築できるのか?」ホンダと日産の“EV連合”への懸念 局面打破のカギとなる三菱自動車の動き》では、両社に三菱自動車を加えた「3社連合」の先行きについて、井上氏がレポートしていた。今回は経営統合の話まで動き出し、事態は風雲急を告げている。

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