調整に入ったとはいえ好調な株式相場に牽引されて投資信託への資金流入も拡大が続いている。投資信託の最新事情をリッパー・ジャパンのファンドアナリスト、篠田尚子氏が解説する。
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4月までは、好調な国内の株式相場を反映して、投資信託市場にも順調に資金が流入した。リッパー・ジャパンが推計している、4月の国内株式追加型の設定額から解約額を差し引いた推計純設定額は約5643億円となった。総額は前月比約2234億円減少したものの、4か月連続での純流入となっている。
その結果、内外の金融商品の価格上昇もあって、4月末の国内追加型の純資産残高は前月比で4兆1860億円増加し、合計で64兆1641億円となった。8か月連続の増加であり、2008年7月以来の57か月ぶりの60兆円台の回復である。
リーマン・ショック以降、純資産残高は2009年1月末の38兆7627億円まで減少したが、4年3か月かかって21兆円増えたことになる。
過去の最高額は2007年10月末の69兆113億円。年内の最高額更新が射程圏内に入ってきた。2000年代に入って世界の金融市場にはさまざまな危機が発生し、何度も好不調の波が到来したが、それを乗り越えて、国内の投信マーケットの裾野は確実に広がってきたといえるだろう。
足元で新規資金が流入している好調なファンドは、やはり「日本株」だ。投信の本数自体が多いこともあるが、4月だけで約3000億円の資金純流入が見られ、カテゴリー分類別では2位以下を大きく引き離してトップとなった。他にも、ベストテンには株式型が数多くランクインし、債券型が数多く並んだワーストテンとは好対照をなしている。
ワーストの方で、日本の不動産型が9位に入っているが、これは国内のREIT(不動産投資信託)などにも投資をしている投信を含んでおり、昨年来、基準価額がかなり上昇しているため、4月は投資家からの利益確定の売却が相次いだ模様。パフォーマンスが悪かったための資金流出ではない。
※マネーポスト2013年夏号