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【注目トピックス 日本株】サークレイス Research Memo(3):新経営体制で最先端DXを支える成長企業へ(2)

*14:03JST サークレイス Research Memo(3):新経営体制で最先端DXを支える成長企業へ(2)
■サークレイス<5029>の事業概要

3. 事業内容
同社は、コンサルティングサービス及びプラットフォームサービスを主力事業として展開してきたが、2025年3月期より事業セグメントを再編し、新たに「コンサルティングサービス」「SaaSサービス」「アオラナウ」の3部門体制へ移行した。2025年3月期における売上高構成比は、コンサルティングサービスが全体の93.4%を占め、同社の収益基盤を形成している。SaaSサービスは3.8%、アオラナウは2.7%と、いずれも事業規模は小さいが、成長余地が期待される分野である。

(1) コンサルティングサービス
同社のコンサルティングサービスは、デジタル技術を活用したビジネス設計を中核とし、企業のDX推進を包括的に支援している。具体的には、SalesforceプラットフォームやAnaplan、さらに連結子会社アオラナウによるServiceNowプラットフォームを活用したシステム開発、加えて直近ではMicrosoft製品やAWSプラットフォームなどに対するサービス範囲の拡大を通じて、業務効率化や競争力向上を実現する。また、AI及びデータを活用したノーコード開発、クラウド環境下での運用支援、カスタマーサクセスを含む幅広いサービスを提供している。さらに、教育サービスやCirclace HTとの協業を活用し、マネージドサービス「ConsulTech」としての総合的な支援体制を構築している。

a) Salesforce
Salesforceは、顧客情報や営業活動を管理する主要CRMツールで、世界シェアNo.1を誇る。金融、医療、製造業など幅広い業界で利用され、15万社以上の導入実績を持つ。AIやデータ分析ツールを組み込んだ製品により、顧客行動の予測や迅速な意思決定を支援する高機能を提供。顧客関係管理の分野で圧倒的な信頼と実績を築いている。

b) Anaplan
Anaplanは、個々の組織でExcelを駆使して手作業で立案しているような計画について、ワークシートを共通化しデータを一元管理することで、標準プロセスの確立が可能になり、メールなどを利用したExcelのリレーから解放され、他部門の計画を参考にしながらプランニングに専念できるソリューションである。同社は、Anaplanのノンカスタマイズの導入から顧客独自のアプリケーション開発・連携まで、顧客の最適な環境を支援するコンサルティングを行う。

c) Microsoft製品に対するサービスの拡大
同社はMicrosoft製品に対するサービス範囲の拡大を進めており、生成AIと「Microsoft Power Platform」活用した企業のDXを包括的に支援する新規事業も立ち上げ、ソリューション提供を強化している。

d) AWSプラットフォームに対するサービス拡大
AWSプラットフォームにおいては、同社はクラウドインフラの構築、運用、管理からデータ活用支援まで幅広いサービスを提供している。

(2) SaaSサービス
同社のSaaSサービスは、海外人事労務に特化した業務特化型クラウドサービス「AGAVE」を中心に展開している。AGAVEは、グローバルに展開する企業向けに設計され、複雑な人事労務管理や海外給与計算を効率化し、法規制遵守や多言語対応を実現する自社開発のSaaS製品である。同社は、この商品の開発から販売までを一貫して行い、企業のニーズに応じた柔軟な機能提供とサポート体制を構築している。

(3) アオラナウ
同社のアオラナウ事業は、ServiceNowの導入支援を中心としたサービスをワンストップで提供している。ServiceNowは、大企業が抱える従来型ITデリバリーの課題を解決するため、セキュアで使いやすいクラウドベースの「Now Platform」を提供している。このプラットフォームは、組織や部門を横断するデジタルワークフローを構築可能である。具体的には、同社は、このプラットフォームのライセンスの再販、システム設計・開発、運用・保守から定着化支援まで、ServiceNow導入に必要な全プロセスを一貫してサポートする。この包括的なサービスにより、企業の業務効率化やITサービス管理の最適化を実現する。

同社はSalesforce事業において先行者優位性を持ちながらも、プッシュ営業の不足が課題として浮上した点を教訓に、アオラナウ事業では積極的なプッシュ営業と人材採用を強化している。この戦略により、迅速な市場拡大と顧客基盤の構築を目指しており、国内No.1の地位確立を中期的な目標として掲げている。

4. 競合他社と比較した同社の強み
同社の競合他社は、世界的コンサルティングファーム及びシステム設計・開発・運用等を手掛けるITサービス企業であるAccenture(アクセンチュア)や、日本のシステムインテグレーション(以下、SI※)企業であるテラスカイ<3915>が挙げられる。アクセンチュアはコンサルティング系の総合型SI企業、テラスカイはシステム開発系のSI企業である。同社のコンサルティングサービスはアクセンチュアが得意とする超大手企業というよりは、大手企業から中堅企業を注力領域としており、現状、大手顧客の信頼も勝ち取り、盤石な顧客基盤を有している。

※ 顧客の使用する情報システムの企画、設計、開発、構築、導入、保守、運用などを一貫して請け負うサービスのこと。

同社の強みは、卓越した人材の質と一貫した高品質なサービス提供にある。同社は、Salesforceを活用して蓄積したデータを競争優位性の1つとしており、その活用方法が今後の重要なポイントとなっている。同社はSalesforce本社と直接的なパイプを持つことで、米国からの最新技術や利用方法に関する情報を迅速に取得している。また、Salesforceの新技術である自律型AIエージェント「Agentforce」を既に試験導入しており、その結果を基に日本企業への適用を迅速に進められる体制を整えている。この情報の早期共有と技術の先行利用は、同社が日本市場で独自の強みを発揮する要因となっている。加えて、生成AIと「Microsoft Power Platform」を活用した、より高度で広範囲な「企業システム全体の最適化」を実現するためのソリューションを提供する事業も開始している。

Salesforceプラットフォーム認定資格の保持数は業界トップクラスであり、最難関資格である“テクニカルアーキテクト”、AIに関する“AIアソシエイト”資格など、高度なスキルを持つ人材を揃えている。また、カスタマーサクセス事業に従事する多くのコンサルタントがIT未経験からの入社でありながら、独自の人材育成ノウハウを通じて迅速に戦力化している点も特徴的である。同社は、コンサルティング、システム開発、カスタマーサクセスを含む一貫したサービス提供により、途切れのない高品質な支援を実現し、他社との差別化を図っている。さらに、ServiceNowを活用したデジタルワークフローの構築を通じ、大手企業に加え、中堅企業のDX支援も本格化している。SaaS製品「AGAVE」は海外人事労務管理に特化し、2年連続で国内シェアNo.1を獲得している。業務の見える化と効率化を実現するこのサービスは、顧客基盤を拡大し、ストック型収益をけん引する主要な成長エンジンとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

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