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中国で大流行の感染症「ヒトメタニューモウイルス」にまだ特効薬は存在しない 春節の大移動で日本国内の患者が増加し医療機関逼迫の懸念も

「ヒトメタニューモウイルス」患者が殺到する中国の病院(時事通信フォト)

「ヒトメタニューモウイルス」患者が殺到する中国の病院(時事通信フォト)

 新年早々、新たな脅威が日本に迫っている。中国で大流行中の「ヒトメタニューモウイルス(hMPV)」だ。呼吸器系の感染症で、患者が病院に押し寄せる様子などがテレビに報じられた。

 中国のSNS上には〈咳がひどくて肺が口から出てきそう〉〈子供の咳が2か月止まらず、点滴を5日間打っても良くならない〉などの投稿が相次いでいる。

 診察で同ウイルスの検査を行なう多摩ファミリークリニック院長の大橋博樹医師が解説する。

「(hMPVの)感染者は日本国内にもいます。いわゆる風邪の一種で、春先、1~3歳くらいまでの子供の感染が多い。咳、鼻水、発熱が主な症状ですが、重症化すれば肺炎を発症し、入院が必要になるケースもあります」

 同じく呼吸器感染症を引き起こすインフルエンザや新型コロナと異なり、hMPVはワクチンも特効薬も存在しない。

「検査の保険適用は6歳未満。キットを備えているのは一部の小児科くらいでしょう」(同前)

 目下、危惧されているのはhMPVが“コロナの再来”となる危険性だ。感染症に詳しい勝田吉彰・関西福祉大教授が警鐘を鳴らす。

「2月は中国の旧正月『春節』で大勢のインバウンド客の訪日が見込まれます。春節の人の移動で日本国内の患者が増える可能性はある。hMPVは報告義務のある5類感染症ではなく、患者数は把握できません。重症化リスクのある乳幼児や高齢者、免疫抑制剤を服用中の方は要注意。流行するコロナ、インフル、マイコプラズマと重なれば医療機関の負担増となる恐れがあります」

 手洗い、マスクなどの基本的な対策が必須だ。

※週刊ポスト2025年1月31日号

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